ブライダルチェックを受ける人の割合は、公的な機関から公表されているデータはありませんが、不妊症の検査や治療経験の割合などの調査結果は公表されています。この記事では夫婦調査の結果の詳細やブライダルチェックを受けるタイミング、メリット、費用などを解説します。ブライダルチェックを検討している場合はご覧ください。
ブライダルチェックを受ける割合は?
ブライダルチェックを受ける人の割合については、大きい規模で公的に集計されたデータは今のところありません。ブライダルチェック自体がクリニックによって定義や検査内容が異なるため、一律の統計を取ることが難しい面もあります。
ただし、参考になるデータとして不妊の検査や治療経験についての夫婦調査があります。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した第16回出生動向基本調査によると、不妊症の検査や治療経験がある夫婦の割合は22.7%、不妊の心配をしたことがある夫婦の割合は39.2%という結果が出ています1)。
2002年に実施された第12回出生動向基本調査では、同じ質問に対する結果は、それぞれ12.7%と26.1%であり2)、約20年の間で不妊や妊孕性(にんようせい:妊娠する力)に対する関心は高まっていることがうかがえます。
ブライダルチェックを受ける男女の割合は?
トーチクリニックにおけるプレコンセプションケア・ブライダルチェック外来をご受診された患者様の割合は、女性が53.7%、男性が46.3%という結果でした(2022年7月〜2024年6月における期間の割合)。
ブライダルチェックは女性の方が中心という印象もありますが、実際には男性の受診も一定数あり、男女ともに関心が広がっていることがわかります。
ブライダルチェックを受けるべきタイミング
ブライダルチェックを受ける適切なタイミングは、一律に決められるものではありません。しかし、将来的に妊娠や出産を考えている方にとって、自身の妊孕性の状態を早いうちに把握しておくことは、ライフプラン設計において参考になります。
特に、女性の場合、30歳を過ぎると妊孕性は徐々に低下し、35歳以降になるとその傾向が加速することが知られています3)。
こうした背景から、結婚を意識し始めたときや、将来の妊娠に向けた検査を検討することを考えている場合には、ブライダルチェックを選択肢の一つとして早めに情報収集しておくことが役立つでしょう。
ブライダルチェックを受けるメリット
ブライダルチェックを受ける主なメリットは以下のとおりです。
このように、検査結果を参考に不妊治療の方針を立てたり、日々の生活習慣を整えたりすることで、不安を軽減し妊娠に向けた準備を進めやすくなります。
ブライダルチェックの検査内容・費用
ブライダルチェックの費用は、医療機関や検査の組み合わせによって異なります。
一般的には、15,000~50,000円程度が費用の相場です。ただし費用が安いという理由だけで判断すると、必要な検査を受け損ねる可能性があるため、ご自身の目的に合った検査項目が含まれているか確認するのが重要です。
ここでは、トーチクリニックの検査プランを例に、具体的な検査内容と費用をご紹介します。
女性のブライダルチェック
トーチクリニックでは、目的や状況に合わせて3つのプランをご用意しています。
女性のブライダルチェックの詳細に関しては、こちらのページをご覧ください。
関連ページ:女性ブライダルチェック
男性のブライダルチェック
男性のブライダルチェックも、状況に合わせた3つのプランから選べます。
男性のブライダルチェックの詳細に関しては、こちらのページをご覧ください。
関連ページ:男性ブライダルチェック
ブライダルチェックにおける保険適用の有無
ブライダルチェックは、病気の治療を目的とした検査ではないため、基本的に健康保険は適用されず、全額自己負担となります。
ただし、検査の過程で何らかの病気や異常が見つかり、保険診療に該当する症状があった場合には、部分的に保険適用される場合もあります。念のため、保険証を持参するようにしましょう。
ブライダルチェックに利用できる可能性がある助成金(東京都)
ブライダルチェックは自費診療ですが、自治体によっては助成制度を利用できる場合があります。東京都では、以下のような助成制度があります。
ブライダルチェックと助成金については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックで使える助成金とは?東京・神奈川・埼玉・千葉の制度や保険適用について解説
ブライダルチェックを受ける際のクリニックの選び方
ブライダルチェックは各医療機関によって検査内容や範囲が異なるため、「こう選べば良い」という明確な基準はありません。ただし、考え方の例として以下に挙げたようなポイントを考慮するのが良いでしょう。
ブライダルチェックは男女で受けよう
ブライダルチェックは、女性だけでなく男性も一緒に受けることでメリットがあるケースがあります。
その理由として、不妊の原因は必ずしも女性側に多いわけではないという点があります。WHO(世界保健機関)の報告でも、不妊の原因の約48%は男性側もしくは男女両方にあるとされており、男女で検査することが重要といえます。
他にも、助成金の観点からも男女で受けるメリットがある場合があります。自治体で設けられている助成金制度では、夫婦の双方が検査を受けていることが条件となることがあります。
そして、男女のカップルで同じ情報を共有できるということにも意味があります。お互いの健康状態を理解することで、妊活や将来の家族計画について話し合いがしやすくなり、協力して取り組むきっかけにつながります。
ブライダルチェックを男女ペアで受けるメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックは男女ペアが良い?カップルで受けるメリットや検査内容について解説
ブライダルチェックに関するよくある質問
ブライダルチェックに関するよくある質問についてまとめました。
Q:ブライダルチェックは生理中でも受けられる?
医療機関によって詳細な方針は異なりますが、検査する女性ホルモンの種類によっては月経1~5日目での血液検査が推奨されるものもあります。そのため、生理中の受診が適しているケースもあります。医療機関のサイト等で確認するようにしましょう。
Q:ブライダルチェックと不妊検査の違いは?
ブライダルチェックと不妊検査は、目的が異なります。
ブライダルチェックは、これから妊活を予定している方が妊孕性や妊娠・出産に影響する病気がないかを確認するための検査です。
自覚症状がない段階で、幅広く健康状態を確認する検査であり、ご自身の状態を把握することができます。妊娠を考える上でのリスクの有無などを確認でき、将来の計画を立てるのに役立ちます。
一方、不妊検査は一定期間にわたって性行為があっても妊娠しない場合の原因を探るための検査です。もし不妊の原因が見つかれば、治療して妊娠・出産を目指します。
特に現時点で特定の問題を感じてない場合は、まずはブライダルチェックが選択肢のひとつとなります。
Q:プレコンセプションケアとは?
プレコンセプションケアとは、将来の妊娠に備えて、妊娠前から自身の健康状態を整えておく取り組みのことです。厚生労働省や日本産婦人科学会でも推奨されています。
具体的には以下のものです。
東京都が実施している「TOKYOプレコンゼミ」は、東京都に住む18〜39歳の男女が無料で参加できる、プレコンセプションケアに関する講座です。パートナーや性別の有無にかかわらず受講でき、正しい知識を学ぶ機会となります。
TOKYOプレコンゼミに関しては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
Q:AMH検査で調べる内容は?
AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)は、卵巣に残っている卵子の数を推測するための検査です。この数値は卵巣予備能の目安とされています。
ただし、AMHの数値が低くても妊娠できないわけではなく、逆に数値が高くても妊娠しやすいとは限りません。あくまで卵巣の年齢を測るための目安として考えましょう。AMHの検査結果によっては、治療が必要となる場合もあるため、詳しいことは医師に相談することが大切です。
AMH検査については以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:AMH検査とは?目的や流れ・費用・受けるタイミングを解説
Q:精液検査で調べる内容は?
精液検査では、精子の量や精子の濃度、運動率、運動の質、精子の形などを調べます。
禁欲期間を2~3日程度設けた後に、マスターベーションで採精容器に精液の全量を採取していただきます。その後、顕微鏡を使って、精液量や精子の数、運動している精子の割合などを詳しく測定していきます。
精液検査の詳細については、以下のページをご覧ください。
関連ページ:精液検査
おわりに
参考文献
1)国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査報告書(2021年調査). 国立社会保障・人口問題研究所ウェブサイト
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ReportALL.pdf
2)国立社会保障・人口問題研究所. 第12回出生動向基本調査報告書(2002年調査). 国立社会保障・人口問題研究所ウェブサイト
https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/DATA/pdf/129001.pdf
3)一般社団法人 日本生殖医学会. Q22.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか? 日本生殖医学会ウェブサイト
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html
4)東京都福祉局. 治療への初めの一歩〜医療機関探しについて~. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.ninkatsuka.metro.tokyo.lg.jp/column/column02.html