精液検査

最終更新日時:
2024-10-24
医師
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torch clinic医師

検査の目的・方法

不妊症の原因は女性と男性で割合が半々といわれています。そのため不妊症の原因検索として、精液の状態を知ることは基本的かつ大変重要な検査です。

当院では、禁欲2~3日後にマスターベーションにて採精容器に精液全量を採取いただき、「精液量」を測定、顕微鏡下で「精子濃度」「運動率」「総精子数」「前進運動精子数」を算出しています。

精液検査の基準値

WHOラボマニュアル 2021 ヒト精液検査と手技-6版

検査項目 下限基準値
精液量 1.4ml以上
総精子数 3,900万/射精以上
精子濃度 1,600万/ml
前進運動率 30%以上
総運動率 42%以上
正常精子形態率 4%以上
白血球数 100万/ml未満

WHOの基準値は「パートナーが12カ月以内に妊娠した男性を正常精液所見とし、その5パーセンタイルを下限値」と定義されます。検査結果によって以下のように診断されます。

  • 乏精子症:総精子数が3,900万個未満
  • 精子無力症:精子運動率が42%未満、前進運動率が30%未満
  • 無精子症:精液中に精子が見つからない

なお精液所見は日々変動します。1回の精液検査で精液の結果をすべて判断することは出来ません。1回目の精液所見が不良であっても、再検査をして23%が正常と判定されるという研究報告もあります。当院では結果が不良であった場合、3ヶ月後の再検査を推奨しております。

精液検査の使用機器

顕微鏡

患者様からお預かりした精液を、顕微鏡を用いて検査します。顕微鏡のステージに精子濃度を計算する「マクラーカウンティングチャンバー」を乗せて測定します。

精液を検査する顕微鏡
精液を検査する顕微鏡

マクラーカウンティングチャンバー

液化した精液1滴(5 μL程度)をチャンバー中央に乗せ、カバーグラスをかけて高倍率で検鏡します。チャンバーには10×10のマス目が存在し、最小区画10区画(1列)の精子数を100万倍することにより、1 mL中の精子濃度が得られます。

マクラーカウンティングチャンバー
マクラーカウンティングチャンバー

検査費用

3,000円(自費・税込)

※1 再診療や診断料などは含んでおりません。

精液所見に影響を与える因子

喫煙、アルコールの過剰摂取、サウナや長風呂、デスクワーク、ストレス、肥満、ボクサーパンツやブリーフなどのタイトな下着の常用、ノート型パソコンの膝の上での使用、長時間の自動車、自転車、バイクの運転など

  • 一般的に上記は精液検査に影響すると言われております。精巣は体温より低く、約32℃〜34℃に保たれています。精子をつくる機能を障害させないために、精巣への熱ストレスや圧迫を控えるように推奨されています。
  • 精子の形成には約3か月かかり、この間の生活習慣が影響されるため、日々の生活習慣の見直しが大切です。

精液検査の流れ

torch clinicでは以下のように精液検査のご案内を差し上げております。

採精前日までに行うこと

  • 院内処置室で医療スタッフより採精カップと名前記入シールをお渡しいたします。
  • 油性ペンをご準備ください。

予約の方法

  • 精液検査をご希望される場合
  • ご主人様のトーチクリニックアプリより、採精カップを持参される日の予約をお取り下さい。「不妊治療 診察」もしくは「ブライダルチェック」の予約枠を選択ください。
  • 精液検査にはあらかじめ準備が必要になりますので、事前にご予約をお願い致します。なお採精カップはパートナーがご持参頂いても構いません。
  • 精液検査のご予約について
  • 平日(火〜金):17:00まで
  • 休日(土日祝):16:00まで
  • 人工授精のためにご持参される場合
  • 人工授精の日が決定した際に、処置室スタッフが電子カルテからパートナーの診療予約をお取りします。採精カップの提出に関して、ご主人様の診療予約は不要です。
  • 採卵手術のためにご持参される場合
  • 手術日が決定した際に、処置室スタッフが電子カルテからパートナーの手術予約をお取りします。採精カップの提出に関して、ご主人様の診療予約は不要です。

採精当日に行うこと

  1. 精液を採取する際は、手を石鹸でよく洗ってから、採精カップに全量採取してください。(カップの内部は清潔にしてください。また潤滑剤やコンドームの使用はお控えください。)
  2. 容器のフタをしっかりと閉めてください。
  3. 容器のフタと本体の2か所に、「ご自身とパートナーの氏名」「ご自身とパートナーの患者ID」「採精日」「採精時間」「禁欲期間(日数)」を油性ペンではっきりとご記入ください。 *禁欲期間(日数)は2〜3日程度お取りください。
  4. 精液がこぼれないように注意しながらタオルなどで巻いた後、紙袋に入れ、人肌程度に温めてお持ちください。
  5. 精子運動率が低下しますので、採精後、2時間以内を目安に持ってきてください。

来院後

受付スタッフに検体をお持ちいただいた旨をお伝えください。処置室へご案内し採精カップ(検体)をお受け取りします。精液検査の場合、検査にかかる時間は約15~30分です。採取精カップ(検体)を提出される際に、検査当日に結果をお聞きになられるか、あらためて予約をとるかをお伝えください。

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