精液検査は不妊症の診断や、治療の一環として実施する際は保険適用となる場合がありますが、保険適用外(自費)での実施となるケースも少なくありません。この記事では精液検査の保険適用と自費での費用の例や関連する助成金などについて解説します。
精液検査が保険適用になる条件
精液検査が保険適用となるのは、一般的に不妊症の診断や治療の一環として医師が必要と判断した場合です。一方で健康診断やブライダルチェックとして実施する場合は、保険適用外となるのが一般的です。
精液検査の保険適用について個別の明確な条件がある訳ではなく、医療機関の判断による面もあります。実際に受ける検査が保険適用となるか知りたい場合は、検査を受ける施設に確認しておくとよいでしょう。
トーチクリニックでは、ブライダルチェックとして精液検査を実施する場合は、保険適用外の検査として提供しています。
精液検査の保険適用と保険適用外での費用
精液検査の費用は、保険が適用される場合と、保険が適用されない場合で異なります。
保険適用の場合、2024年改定の診療報酬点数表では精液検査は70点と定められており、自己負担額(3割)は数百円程度です1)。実際の診療ではこれに加えて診察料などの費用がかかります。
一方、保険適用外の場合は医療機関が独自に金額を設定しています。保険適用外と聞くと高額な印象を持つ人もいるかもしれませんが、精液検査のみの場合は3,000〜6,000円程度の費用が一般的です。
トーチクリニックでは、ブライダルチェックのライトセットにて精液検査と医師カウンセリングを4,650円で提供しています。
精液検査は助成金の対象となる場合も
自治体によっては、精液検査が助成制度の対象になる場合もあります。
たとえば東京都では「不妊検査等助成事業」や「TOKYOプレコンゼミ」などが実施されています。
「不妊検査等助成事業」とは、妊娠を希望する夫婦を対象に、不妊検査や一般不妊治療にかかった費用の一部を助成する制度です。助成額は夫婦1組につき1回、上限5万円です2)。対象となる不妊検査には、精液検査も含まれています。
詳細な条件については、東京都福祉局の公式サイトをご確認ください。
「TOKYOプレコンゼミ」は、妊娠や出産について正しい知識を学ぶための取り組みです。年齢と妊娠の関係や不妊などについて学び、精液検査などを含むヘルスチェックを受けることで、上限3万円まで助成が受けられます3)。
TOKYOプレコンゼミについては、以下の記事でも詳しく解説しているので合わせてご覧ください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
精液検査の内容と注意点
精液検査は、男性の妊孕性(にんようせい:妊娠する力)を確認するための検査です。
精液の量や精子の数(精子濃度)、運動率、形態などをもとに、精子の状態や妊娠に影響する疾患などがないかを判断します。
WHO(世界保健機関)が定めている精液検査の主な検査項目と基準値は以下のとおりです4)。
この基準値は、実際に自然妊娠したカップルの精液検査の結果における下限5%の値から設定された目安であり、基準値を満たしていても必ず妊娠できるというわけではありません。逆に基準値以下であっても妊娠できる可能性がなくなるわけではないため、検査の結果を受けてしっかりと医療機関と方針を相談することが重要です。
また、精液の状態は日々変動することが知られており、基準値を満たさない場合でも1回の検査だけで全てが判断できるわけではありません。再検査で23%が正常と判定されるという研究報告もあり5)、再検査が推奨される場合もあるため、この点も医療機関と相談するようにしましょう。
精液検査以外の男性の不妊検査について
男性の不妊検査は一般的な精液検査以外にもいくつか種類があり、代表的なものは以下のとおりです。
不妊治療は保険適用になる?
男性不妊の原因に対する治療や、妊娠に向けた不妊治療はいずれも内容に応じて保険適用になります。
それぞれについて解説します。
原因の治療
男性不妊と診断された場合には、原因や症状に合わせて薬物治療や手術などが行われます。
男性不妊の原因で最も多いものは、精子をつくる機能が低下している状態の造精機能障害です。代表的な造精機能障害として、精巣やその周りの静脈が拡張して精子が作りづらくなる精索静脈瘤がありますが、主な治療は手術であり保険適用で実施されます。
また、性機能障害に分類される勃起不全(ED)も男性不妊の代表的な原因となりますが、一部のED治療薬も現在は保険適用で使用することができます。
妊娠に向けた不妊治療
妊娠に向けた不妊治療では、代表的なものとして一般不妊治療(タイミング法・人工授精)と生殖補助医療(体外受精・顕微授精)などがあり、これらは2022年4月より保険適用となりました。
それぞれの治療と具体的な方法は以下のとおりです。
これらの治療は、不妊の原因や年齢、これまでの治療経過などを踏まえて検討されるのが一般的です。
また、男性不妊の場合は、手術用顕微鏡などで精巣内より精子を回収する「精巣内精子採取術(TESE)」の手術も保険適用で実施できます。
なお、生殖補助医療に関しては、保険適用の条件として年齢や回数の制限があります。
不妊治療の保険適用の範囲や条件については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連ページ:不妊治療の保険適用はどこまでできる?条件や費用についても解説
精液検査に関するよくある質問
ここでは、精液検査に関するよくある質問へ回答します。
Q.精子の検査はどこで受けられますか
A.男性の不妊検査は、主に次のような診療科や医療機関で受けることができます。
- 婦人科、産婦人科(不妊治療専門クリニックを含む)
- 男性不妊に対応する泌尿器科
婦人科や産婦人科、不妊治療専門クリニックの中には、男性のみでの精液検査を受付していない医療機関もあります。そのため、男性だけで検査を受けたい場合は、事前に医療機関の受診方法やルールを確認しておくと安心です。
また、泌尿器科でもすべての医療機関で精液検査を行っているわけではありません。受診前に、検査に対応しているかどうかを確認しておきましょう。
精液検査がどこでできるかについては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:精液検査はどこでできる?調べられる内容と東京・トーチクリニックでの検査について紹介
なお、トーチクリニックでも精液検査を含むブライダルチェックや不妊検査を実施しています。
男性のブライダルチェックについては以下のページで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連ページ:男性ブライダルチェック
Q.精子の検査は東京では無料で受けられますか?
A.精液検査は医療機関での専門的な検査であり、基本的には無料で実施できるものではありません。ただし、助成制度などを活用することで、実質的な負担がなく検査を受けられる場合があります。
東京都では、先述した「不妊検査等助成事業」や「TOKYOプレコンゼミ」などのように妊娠や出産にむけた検査の費用を一部負担してくれる助成制度があります。
助成の対象となる条件や検査内容は自治体の制度によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
おわりに
参考文献
1)厚生労働省. 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 令和6年厚生労働省告示第57号 別表第一(医科点数表). 厚生労働省ウェブサイト.
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
2)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
3)東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
4)World Health Organization. WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th ed.
https://iris.who.int/server/api/core/bitstreams/4038e736-37b3-4064-a39a-60475e0ccecc/content
5)Blickenstorfer K, Voelkle M, Xie M, Fröhlich A, Imthurn B, Leeners B. Are WHO recommendations to perform 2 consecutive semen analyses for reliable diagnosis of male infertility still valid? J Urol. 2019;201(4):783-791.
https://www.auajournals.org/doi/10.1016/j.juro.2018.11.001


