女性ブライダルチェック

最終更新日時:
2024-06-29
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torch clinic医師

ブライダルチェックとは

ブライダルチェックは、結婚や妊娠を控えたカップルの健康状態を確認するための検査です。将来的な妊娠に備え、健康的な生活を送るための基盤を築くことができます。出産や妊娠に影響がある問題や、妊娠中や出産後に問題となるような感染症がないかをチェックします。

また、不妊治療が必要となってからではなく、妊活開始前にも健康状態をチェックすることができるため、万が一問題があった場合には早めに対応することが可能です。

トーチクリニック(torch clinic)では不妊症の予防や早期発見を目的としたブライダルチェックに力を入れております。

カップルの4.4組に1組が不妊治療を受けており、不妊の原因は男性と女性で半々

夫の平均初婚年齢が31.1歳、妻が29.7歳と、晩婚化が進むにつれて、不妊症に悩む方は年々増加傾向にあります。現在、日本では約4.4組に1組のカップルが不妊治療を受けており、不妊症は珍しくない疾患となっています。そのため、ブライダルチェックは一般的に結婚を控えた男女が受ける婦人科検診とされますが、ご自身の妊娠する力(妊孕性:にんようせい)を早めに知っておくことは、結婚前でも結婚後でも重要なことです。

不妊症の原因は次のように分布しています。

女性のみに原因があるケースは41%、男性のみに原因があるケースは24%、男性と女性の両方に原因があるケースは24%、原因が不明なケースは11%です。したがって、不妊の原因は男女半々と考えられます。そのため、女性だけでなく男性にも是非ブライダルチェックをご利用いただくことをおすすめします。

早めに妊孕性を意識していただき、将来の選択肢を増やしていただけたらと考えております。

また、トーチクリニックでは結果に応じて生殖医療専門医、助産師、胚培養士による専門的なカウンセリングも行なっております。何かご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

ブライダルチェックの流れ

ブライダルチェックの予約から、結果までの流れをご説明します。

1)ブライダルチェックのご予約

アプリまたは問い合わせフォームから、ブライダルチェックの予約をお取りください。当日は予約した時間にご来院いただき、受付で予約時間と患者IDをお伝えください。

2)スタッフによる事前問診を行います

不妊治療の知識を持った看護師・心理士等のスタッフが事前の問診を行います。

ブライダルチェックの説明、ご希望内容のヒアリング、既往症、治療歴、アレルギーの確認などを行います。

事前の問診とご希望を踏まえ、最適なブライダルチェックのセット・メニューを提案します。

※パートナーの方と別々に行うことも可能です。ご希望の場合は受付スタッフまでお申し出ください。

3)採血を行います(行わない場合もあります)

採血をします。セット・メニュー内容によっては行わない場合もあります。

採血の結果が出るまで1週間程度のお時間を要します。

※採血を行う時期(月経期でない場合)によっては2回採血が必要となりますのでご了承ください。

4)医師によるカウンセリングを行います

妊娠する力(妊孕性)についての説明や、患者様からのご質問にお答えします。

初回のご来院はこちらで終了となります。

5)医師による血液検査等結果説明

約1週間後に、ご来院いただきます。(検査内容によってはそれ以上の期間お待ちいただく可能性もございます)

検査結果を踏まえ、現在のご自身の妊娠する力(妊孕性)について医師が説明します。

不妊治療をご希望の方には、今後の治療計画を提案いたします。

※前回の来院時に月経期の採血を行っていない場合は、月経期にご来院ください。説明前に採血をご案内させていただきます。なお、採血結果が出るまで最低でも30分以上のお時間が必要です。あらかじめご了承ください。

ブライダルチェックの費用

ブライダルチェックの費用は以下の通りです。

検査項目 単体価格 ライトセット 妊活セット フルスクリーニング
セット
¥12,200 ¥38,100 ¥51,700
医師によるカウンセリング 無料
超音波検査 ¥5,200
AMH ¥7,000
女性ホルモン基礎値 ¥3,000
プロラクチン ¥2,000
クラミジア抗体検査 ¥4,500
風疹抗体検査 ¥2,000
感染症検査(HIV等) ¥7,000
甲状腺検査 ¥3,300
ビタミン検査 ¥3,000
血算 ¥1,100
ミネラル検査 ¥4,500
子宮頸がん検査(細胞診) ¥5,600
血糖(随時) ¥500
HbA1c ¥3,000

ブライダルチェックは病気の方を対象にした検査ではないため、健康保険の適用はされず、一般的な健康診断と同様に自費診療になります。ただし、ブライダルチェックの検査項目に保険適用に該当する症状があった場合は、部分的に保険適用される場合があります。症状によっては保険適用になることもあるため、念のため保険証を持参すると安心です。

検査にかかる費用に対し、自治体等から助成金が支給される場合がございます。詳しくは受付スタッフにお尋ねください。

ブライダルチェックで検査する内容

ライトセット(¥12,200)

卵子の残数、子宮や卵巣の状態を知りたい方向けのプランとなっております。

「経腟超音波検査」「AMH検査」が含まれます。

妊活セット(¥38,100)

今後妊活を考えている方、もしくは現在妊活中の方向けのプランとなっております。

ライトセットの全ての内容に加え、「女性ホルモンの基礎値検査」「プロラクチン検査」「クラミジア抗体検査」「風疹抗体検査」「感染症検査」「甲状腺検査」「ビタミン検査」「血算検査」を行います。

フルスクリーニングセット(¥51,700)

より詳しく妊活に関わる検査を行いたい方向けのプランとなっております。

ライトセット、妊活セットの全ての内容に加え、「ミネラル検査」「子宮頸がん検診(細胞診)」「血糖」「HbA1c検査」を行います。

オプション検査

さらに詳しい検査をご希望の方には、オプション検査をご用意しております。「HPVリスク判定」「卵管造影検査」等をオプションとして追加することができます。

女性ブライダルチェックの検査内容と解説

torch clinicでおこなっているブライダルチェックの内容について紹介します。女性ホルモンの状態を最も評価できる月経1-5日目にご受診いただくと検査がスムーズです。

経腟超音波検査

経腟超音波検査は、子宮や卵巣の状態を観察する検査です。卵胞(卵子の入っているふくろ)の数や発育状態のチェックを行います。不妊症の原因となる「子宮筋腫」「子宮内膜症」「卵巣腫瘍」などの疾患がないか確認します。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)

卵巣予備能を判断するための基本的かつ非常に重要な検査です。臨床現場においては、残存する卵子の数や排卵誘発時に反応する卵胞の数を評価する値として利用されています。卵巣年齢と言われることもありますが、適切な表現ではありません。あくまで卵子の数の目安となる値であり、必ずしも質の良し悪しを表すものではありませんので注意が必要です。

AMHは臨床現場において、残存する卵子の数や治療に反応する卵胞の数を評価する指標として利用されています。

よく卵巣年齢とも言われますが、これは適切な表現ではありません。卵子の数の目安になりますが、必ずしも質の良し悪しを表すものではありませんので注意が必要です。ここを正しく理解しないとAMHの結果で一喜一憂してしまうことになるので注意が必要です。結果を適切に読み解き、正しく理解することが大変重要です。

女性ホルモン検査

E2(エストラジオール)、LH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)の女性ホルモン値を測定する血液検査です。

状態を最も評価できる月経1-5日目に測定します。

E2、LH、 FSHはいずれも卵巣機能を評価するための基本的かつ非常に重要な検査です。加齢など、卵巣機能の低下とともにFSH値が上昇することが報告されています。

またFSHやLHのバランスは、排卵障害の有無や原因を調べる上で重要です。

PRL(プロラクチン)

乳汁分泌ホルモンと呼ばれるホルモンを測定する血液検査です。高値の場合は不妊症の原因である高プロラクチン血症の可能性があります。

クラミジア検査

クラミジア感染症は卵管性不妊症の原因の60%を占めるとされます。子宮頸管に感染した後に、卵管炎を起こし、卵管の狭窄や閉塞を起こします。日本国内で最も多い性感染症(STD)の一つであり、20代では20人に3人、10代では10人に3人がクラミジアに感染しているとされ、日本の妊婦さんの2.4%がクラミジアに感染(検査対象32.6万人)していたという報告があります。

クラミジア抗体検査では、感染症の有無(現在の感染・過去の感染)を調べます。クラミジア感染症は約80%が無症状であり、感染に気づかずにパートナーにうつしてしまっている可能性があります。ブライダルチェックにおいて大変重要な検査です。

※卵管造影検査をご希望の方には必須の事前検査となります。

風疹抗体検査

風疹ウイルスに対する抗体の有無を調べる血液検査です。妊娠初期に風疹にかかると、胎児が先天性風疹症候群(心疾患や聴覚障害、白内障・緑内障、精神発達遅滞など)を発症する危険が高まります。

風疹は大変罹患しやすい感染症であるので、妊活前にお二人共風疹抗体を調べることをおすすめ致します。

風疹ワクチンを接種されていない方、抗体が不十分(32倍未満)な方は、ワクチンの接種をおすすめいたします。

感染症検査

B型肝炎・ C型肝炎・梅毒・HIV感染症の有無を調べる血液検査です。

万が一感染していた場合、母子感染の危険性があるため、妊娠前の検査をおすすめしています。

また、人工授精・体外受精は、現在これらの感染症に罹患していないことが実施の条件となりますので、治療をご希望される方には必須の事前検査となります。

甲状腺機能検査

甲状腺機能検査は、甲状腺機能(TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4)の異常を調べる血液検査です。甲状腺の病気の発症率は女性の方が高く、妊娠と密接に関わっています。甲状腺の病気は、不妊症や胎児発育、流早産に影響を及ぼす可能性があるとされ、妊娠前に適切な診断と治療を行うことは大切です。

なかでも不妊症の方の10人に1人は潜在性甲状腺機能低下症を合併していると言われます。米国甲状腺学会の甲状腺異常症合併妊娠ガイドラインでは、TSH値が2.5μU/ml未満の場合、自己抗体の精査と治療の検討を提唱しています。

卵管造影検査で用いられる造影剤が、甲状腺機能を一時的に悪化させる場合があるため、卵管造影検査をご希望の方には必須の事前検査となります。

ビタミンD検査

25OH Vitamin D(ng/ml)
正常 〜30以上
低下 12〜30
欠乏 10〜12未満

出典:日本産婦人科学会

25-OH-VitD(血中ビタミンD濃度)の値を調べる血液検査です。

骨の形成と密接な関係があることで知られているビタミンDは、免疫機能とも深く関連しており、受精卵の着床や卵巣機能、流産とも関与していると言われています。不妊症女性の87.3%がビタミンD不足であるという報告もあり、事実、活性型ビタミンD < 30 ng/mL では着床率が有意に低いと言われています。血中ビタミンD濃度検査は不妊症の検査として広く行われています。

血算

貧血の指標となるヘモグロビンの値などを調べる血液検査です。貧血は体内の血液消費量の増加や産生能力の低下により生じますが、女性の貧血は月経量の多さを原因とする場合が多いです。

妊娠中は特に貧血になりやすく、重度の貧血になると胎児にも悪影響があるため、妊娠前に検査し必要に応じて治療を開始することが重要です。

ミネラル検査

ミネラル検査は鉄・フェリチン、亜鉛の値を調べる血液検査です。

鉄・フェリチン

妊娠中は特に貧血になりやすく、重度の貧血になると胎児にも悪影響があるため、妊娠前に検査し、必要に応じて治療を開始することが重要です。本検査で鉄・フェリチンの値を測定することで、ヘモグロビンの値だけでは分からない「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)」を発見することができます。

亜鉛

体内の銅濃度が高い方は子宮内膜に銅が付着し、着床しづらい状態になる傾向があると考えられています。亜鉛は血中銅濃度を下げる作用があるとされ、着床しやすい子宮環境をととのえます。また、亜鉛には受精卵の分割を促す作用もあります。本検査で早期に亜鉛不足を発見し改善することにより、より理想的な状態で不妊治療を開始することができます。

子宮頸がん検診(細胞診)

日本では2018年の1年間で、23,803人が子宮頸がんの前段階と、10,978人が子宮頸がんが見つかっています。20歳台から40歳台の女性で多く見つかるため「マザーキラー」と呼ばれることもありますが、その多くは無症状のため、定期的な検査が大変重要です。内診台に乗った状態で子宮頸部の細胞をこすり取り、細胞の形や性質を検査します。痛みはほぼなく時間もかかりません。

血糖(随時)

排卵に影響する血糖の値を調べる血液検査です。

不妊症や月経不順の原因のひとつに糖尿病があり、また血糖値のコントロールが不十分な状態で妊娠すると、流産率が上昇したり、胎児の先天奇形を生じやすくなります。妊娠前に検査し、必要に応じて治療を開始することが重要です。

HbA1c

HbA1cとは、赤血球中のヘモグロビンが糖と結合したもので、過去1〜2ヶ月の血糖値を反映する血液検査です。HbA1cは当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。

卵管造影検査(¥30,000)

子宮卵管造影検査は女性不妊症の診断に用いられる検査で、自然妊娠が望めるかを確認する上で必須の検査です。卵管が詰まったり狭まったりしていないか、子宮の中にくっついている箇所がないか、その他の病変はないかを調べる目的で行います。また、卵管に造影剤を通過させることで妊娠率が上昇することも知られています。

HPVリスク判定(¥5,300)

子宮頸がんの原因の95%以上は、HPV(ヒューマン・パピローマ・ウイルス)というウイルスです。

性交渉の経験がある8割の女性は、HPVに感染したことがあるといわれています。ただし、HPVは他の性感染症とは異なり、感染したからといって必ずしも症状を引き起こすわけではありません。

また、HPVにはさまざまな種類(型)があります。子宮頸がんの原因となるのは、主に16型、18型、52型、58型です。これらの型は、がんの原因になりやすいため「高リスク型」HPVといいます。一方で、がんの原因にはなりづらいHPVの型は「低リスク型」HPVといいます。

本検査では比較的高リスク型と言われているHPV13種類を一括で検出し、高リスク型が含まれる(陽性)かどうかを判定します。