ブライダルチェックと不妊検査の違いは?

最終更新日時:
2024-04-05
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

ブライダルチェックとは

ブライダルチェックの目的

ブライダルチェックの目的は、結婚や妊娠を控えたカップルの健康状態を確認し、将来的な妊娠に備えつつ健康的な生活を送るための基盤を築くことです。出産や妊娠に影響がある問題がないか、妊娠中や出産後に問題となるような感染症がないか、などをチェックします。また、不妊治療が必要となってからではなく、妊活開始前の段階で健康状態のチェックができるため、万が一健康状態に問題があった場合に早めに対応することができます。

日常生活で症状がない方でも、妊娠や出産に影響を及ぼす可能性がある疾患が潜んでいることがあります。早めに検査を受けることで、早期治療や対策を講じることにより、より安全な妊娠・出産を目指せます。

妊娠・出産に影響を及ぼす要因は、女性だけでなく男性にも存在します。そのため、男性向けのブライダルチェックメニューも提供されており、カップルや夫婦で一緒に利用することをおすすめします。

ブライダルチェックの検査項目

ブライダルチェックの検査項目には妊娠への影響が大きい「婦人科検診」、「性感染症検査」、「男性の精液検査」が含まれることが多いです。

ただし、検査項目は医療機関により異なることがあるので、詳細は直接医療機関にお問い合わせください。

トーチクリニックのブライダルチェックは、妊娠に特化した専門クリニックとして、将来の妊娠や妊活を重視したメニューを提供しています。

女性のブライダルチェックは、基本セットとして「子宮卵巣検査」、「女性ホルモンに関する検査」、「感染症検査」、「貧血検査」を含んでいます。加えて、オプションとして「甲状腺検査」、「ビタミン検査」、「ミネラル検査」、「子宮頸がん検診」、「卵管造影検査」なども選択いただけます。

男性のブライダルチェックは、「精液検査」、「感染症検査」、「風しん抗体検査」を提供しています。

医師による検査の説明やカウンセリングや結果説明の提供はもちろんのこと、希望者には臨床心理士のカウンセリングも提供します。

トーチクリニックのブライダルチェックの詳細なメニューはこちらをご覧ください。

ブライダルチェックを受けるタイミング

将来的に妊娠を考えている夫婦やカップルには、結婚のタイミングに限らず早めにブライダルチェックを利用することをおすすめします。

ブライダルチェックの検査内容は、妊娠や出産に影響を及ぼす可能性のある要因の特定に役立ちます。そのため、この検査は必ずしも結婚のタイミングに限定されるものではありません。結婚前にパートナーでご利用されるケースや、結婚後や妊活開始時に利用されるケースもあります。

不妊検査とは

不妊検査の目的

不妊検査は、不妊症の原因を調査し、不妊の治療方法を決定するためのものです。

不妊検査の検査項目

不妊検査には「男性不妊の検査」、「ホルモン関連の検査」、「染色体・遺伝子関連の検査」、「内視鏡検査」、「画像診断」などがあり、これらを用いて不妊や流産の原因を多角的に調査します。

具体的には下記のような検査項目があります。

検査すべき項目は、不妊症の症状や状況により患者ごとに異なります。そのため、担当医師のアドバイスに従うことが重要です。

男性側の検査項目

精液検査

精液検査では精液の透明度、量、精子濃度、運動性、形態、生存性などを調査します。運動性の評価では、「速度」、「精子の前進運動の有無」、「非運動精子」などを考慮し検査します。

超音波診断法

超音波検査では、精巣上体の嚢胞性腫瘤や、精液検査の悪化と関連性のある微小石灰化症、射精管嚢胞などの検査をします。

内分泌検査

精巣の主な役割は精子の形成と男性ホルモンであるテストステロンの生成です。これにより、視床下部から下垂体へ、そして精巣へとホルモンが流れる様子を調べる内分泌検査が重要となります。

染色体検査

染色体の異常によって乏精子症を発症する病状を診断するための検査などをします。

女性側の検査項目

基礎体温測定

基礎体温は、運動・食事・精神的作用がない状態、つまり心身ともに安定した状態で測る体温のことを指します。月経周期の卵胞期(卵胞が発育している時期)は低温、黄体期(排卵後の卵胞が黄体に変わる時期)は高温となります。一般的に、低温期と高温期の温度差は0.3℃以上とされています。これは排卵の確認や、後から振り返って排卵日を推測するのに役立ちます。

下垂体ホルモン検査

下垂体ホルモンを検査します。月経の2~5日目の血液検査で卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を確認することは、卵巣機能や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断の指標になります。また、授乳に関わるプロラクチンも下垂体から分泌されます。血中のプロラクチン濃度が高いと、排卵障害の原因になることがあります。

卵巣ホルモン検査

卵巣ホルモンを検査します。エストラジオール(E2)やプロゲステロンなどの卵巣ステロイドホルモンの分泌を測定します。卵胞の発育に伴い、E2の分泌が増え、排卵後にはプロゲステロンが分泌されます。

AMH検査

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣内の卵胞から分泌されるホルモンで、その値は卵胞の数を反映します。このため、卵巣の予備能力を検査するのに使用されます。

卵巣機能検査

この検査では、排卵の有無、推定排卵時期、黄体機能などを調査します。基礎体温の測定、血中のE2・プロゲステロンの測定、経腟超音波検査、頸管粘液検査などが実施されます。

卵管検査

卵管通気検査、超音波検査、卵管造影検査、腹腔鏡検査、卵管鏡検査等を実施します。卵管は精子の通路、卵の捕獲と輸送、受精卵の初期発生の場、受精卵の子宮への輸送等の多機能を持っています。これらの機能評価のためにこれらの検査を行います。

子宮検査

画像検査(超音波検査・MRI検査)、子宮卵管造影検査、子宮鏡検査、子宮内膜組織検査、腹腔鏡検査などが行われます。子宮は精子の通過、胚の着床の場、胎児を保持する容器としての機能を持ちます。そのため、子宮頸管粘液の分泌不全、子宮の形態異常(重複子宮や中隔子宮など)、子宮内膜ポリープや子宮筋腫の有無、子宮内腔の癒着や狭窄、子宮内膜の機能不全などを調査します。

染色体分析法

染色体の異常によって不妊症を発症する病状を診断するための検査などをします。

DNAによる遺伝子診断

染色体はDNAで構成され、親から子へと遺伝します。遺伝子の異常が原因で起こる流産を事前に防ぐ目的で行われます。

腹腔鏡検査

内視鏡は腹腔内に挿入して行われる検査で、腹腔内や骨盤内の臓器、特に子宮、卵管、卵巣の状態を観察します。不妊症、子宮内膜症、異所性妊娠、腫瘍、性分化異常などの診断に利用されます。

子宮鏡検査

内視鏡を子宮頸部から子宮内腔に挿入して行う検査です。子宮内膜ポリープ、粘膜下子宮筋腫、先天性の子宮形態異常、子宮内腔癒着症、子宮内膜肥厚、萎縮など、子宮腔内の異常が予想される場合に使用されます。

卵管鏡検査

これは卵管腔内を観察するための内視鏡検査です。卵管鏡は膣から挿入する方法と、腹腔鏡を用いて卵管採取や卵管腹腔口から挿入する方法の2つがあります。これは卵管性不妊症の診断に使用されます。

超音波診断法

通常の婦人科診察では、経腟法を用いて子宮や卵巣の情報を得ます。これは不妊検査で用いられる画像診断の中で最も一般的な方法です。

子宮卵管造影検査

これは、造影剤を子宮口から子宮腔内に注入して行う検査です。子宮の形状、卵管の通気性や走行、骨盤内の癒着などを調べるために行われます。

トーチクリニックでは、不妊症の原因を特定するために、ブライダルチェックと同じ検査項目に加えて、ホルモン検査、卵子や卵胞の数の検査、精液検査、子宮卵管造影検査、甲状腺ホルモン検査、不育症検査、着床不全検査などの必要な検査を提供しています。

不妊検査を受けるタイミング

妊娠を目指すか妊活を考えるときには、まずブライダルチェックの利用が考えられます。その上で、妊活を進める中で、不妊治療が必要となった場合は、医師の判断とアドバイスに基づいて不妊検査が行われます。

ブライダルチェックと不妊検査の違い

ブライダルチェックは現状を把握し適切な予防や対策につなげるために、自身の状態を確認する目的で行われます。一方で、不妊検査は治療による妊娠・出産を目指すための検査で、妊娠が困難で治療の必要がある場合にその原因を調べるために行われます。

また、ブライダルチェックは検査と結果確認のみの通院となる一方、不妊検査は原因を特定するまでに通院や時間を要する可能性があります。

ブライダルチェックと不妊検査の助成金や保険適用について

ブライダルチェックは病気の方を対象にした検査ではないため、健康保険の適用はされません。これは一般的な健康診断と同様に自費診療になります。ただ、ブライダルチェックの検査項目に保険適用に該当する症状があった場合は、部分的に保険適用される場合があります。症状によっては保険適用になることもあるため、念のため保険証やマイナンバーカードを持参すると安心です。

なお、現状では、トーチクリニックのある東京都に住んでいる方は、パートナーとペアで検査を受ける場合に限り、ブライダルチェックを助成金を利用して受けることができます。今後も同様の助成金が提供される可能性があるため、各自の自治体の情報を確認することをおすすめします。トーチクリニックでも引き続き助成金情報を提供していきます。

[外部リンク]東京都-不妊検査等助成事業の概要

一方、不妊検査を始めとする不妊治療は、保険適用の範囲が拡大しており、多くのケースで保険が適用されます。まずは、不妊治療の専門医にご相談されることをおすすめします。トーチクリニックも対応しておりますので、お気軽にご相談、ご利用ください。