ブライダルチェックを受けるタイミングは明確な決まりがなく、自分の望むタイミングで受けることができます。ただし、生理周期の中で検査を受けるのに適したタイミングを、医療機関が指定している場合もあるため、事前に確認するのがよいでしょう。この記事ではブライダルチェックのタイミングや生理周期との関連、検査の内容などについて解説します。
ブライダルチェックを受けるタイミング
ブライダルチェックを受ける時期に明確な決まりはなく、以下のようなタイミングでブライダルチェックを受けるのが一般的です。
- 結婚を控えていたり、妊活を始めようと思っている
- 将来的に妊娠を考えている
- まだ具体的な予定はないが、自分の体の状態を知っておきたい
このように、結婚の有無にかかわらず、将来の妊娠を少しでも考え始めたときがブライダルチェックを受けるのに適したタイミングといえるでしょう。
また、近年の調査によると不妊症に悩む夫婦は増えており、不妊症の検査や治療経験がある夫婦の割合は22.7%、不妊の心配をしたことがある夫婦の割合は39.2%という結果もあります1)。少しでも妊娠や体のことで気になることがあれば、検討してみると良いでしょう。
ブライダルチェックのホルモン検査は生理中か生理後か?生理の周期のタイミング
ブライダルチェックを受ける上で、より正確なホルモン値を知るためには、月経周期に合わせて受診するのが望ましい場合があります。例として、妊娠に関わるホルモンの値を調べる検査は月経1~5日目に行うことで、ホルモンの分泌量が基準値と比較しやすく、卵巣の状態をより正確に評価できると考えられています。
医療機関によっては月経周期の中でブライダルチェックを受ける時期が指定されている場合もあるため、公式サイトなどで確認するようにしましょう。
ブライダルチェックの対象者
ブライダルチェックは、名前に「ブライダル」とありますが、結婚を予定しているカップルだけが対象ではありません。
- 将来子どもを持ちたいと考えている全ての男女
- 妊娠や出産に影響を与える可能性のある病気のリスクが気になる方
- 自分の体の状態を知っておきたい方
上記のように、幅広い方が対象となります。パートナーと一緒に受けるのが理想的ですが、一人で受けることも可能です。
そもそもブライダルチェックとは?不妊検査との違いは?
ブライダルチェックとは、現在の体の状態を調べ、将来の妊娠や出産に問題がないかを把握するための検査です。結婚の予定がなくても、将来的に妊娠を考えている方であれば、誰でも対象となります。
一方、不妊検査は不妊に悩む方が原因を特定し、治療へとつなげるために行う検査です。
このようにブライダルチェックと不妊検査は、どちらも妊娠や出産に関わる検査であり、検査項目は共通するもの多くなっていますが、目的や対象が異なります。
ブライダルチェックは将来の妊娠に備える
ブライダルチェックとは、現時点で将来の妊娠や出産に影響を与える可能性のある病気や異常がないかを調べることです。
ブライダルチェックに明確な定義はなく、検査のメニューや費用も医療機関によって異なりますが、一般的な検査内容には以下のものがあります。
- 医師によるカウンセリング
- 超音波検査
- 血液検査 など
これらの検査を通して現在の体の状態を把握し、もし異常が見つかった場合は、必要に応じた治療を実施し、将来の妊娠や出産に向けて準備をしていきます。
不妊検査は不妊の原因を調べ、治療につなげる
不妊検査は妊娠を望んでいるにもかかわらず、一定期間妊娠しない場合に原因を特定し、適切な治療へつなげるために行われます。また、不妊症につながるリスクがある疾患があったり、過去にそのような疾患に罹患したりした場合にも検査を実施するケースがあります。
検査で原因が見つかれば、結果に基づいて不妊治療につなげる前提で具体的な治療計画を立てていきます。検査項目はブライダルチェックと重複するものも多いですが、より詳しく原因を探るための詳細な検査が含まれることがあります。
ブライダルチェックと不妊検査の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックと不妊検査の違いは?検査内容や費用、保険適用の有無や助成金など
ブライダルチェックは男女で受けた方が良い?男女で受けるメリットは?
男女ペアでブライダルチェックを受けるメリットとして、以下のような点があげられます。
- 不妊の原因の可能性を男女ともに調べられる
- 助成金を申請できるようになる可能性がある
- カップルで同じ認識を持てる
不妊の原因は女性側に多いと思われがちですが、約半数は男性側にも原因があることが知られています。そのため、男女で受けることで不妊の原因を把握できる可能性が高くなります。
また、自治体の助成金に関しては、男女で検査を受けることが条件になっていることも少なくありません。例として東京都の不妊検査等助成事業は、「夫婦ともに助成対象の検査を受けていること。」を要件としています。
そして、男女で検査を受けることでカップルとして同じ認識を持てるという点もメリットです。日常だとなかなか話す機会がない話題でも、お互いの健康状態を共有でき、妊活や将来のライフプランを考えるきっかけになります。
ブライダルチェックを男女で受けるメリットに関しては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックは男女ペアが良い?カップルで受けるメリットや検査内容について解説
ブライダルチェックの検査内容と費用
ブライダルチェックの費用は、基本的には保険適用はされず自費診療です。そのため、クリニックや検査項目によって大きく費用が異なります。
ここでは一例として、トーチクリニックで実施しているプランの検査内容と費用をご紹介します。
女性ブライダルチェック
女性ブライダルチェックでは、医師によるカウンセリングと超音波検査、卵巣内に残されている卵子の数の指標となるAMH検査がどのセットにも含まれます。
妊活セットではこれらの検査に加えて、女性ホルモン値や卵管炎などの原因にもなるクラミジアの抗体検査、胎児に影響を及ぼす可能性がある風疹の抗体検査などを受けることができます。
フルスクリーニングセットではさらに、子宮頸がん検査(細胞診)や妊娠糖尿病リスク把握のための血糖(随時)やHbA1cの検査が含まれます。
女性ブライダルチェックの詳細は以下のページをご覧ください。
関連ページ:女性ブライダルチェック
男性ブライダルチェック
男性ブライダルチェックでは、男性側の不妊原因となりやすい精液の一般的な検査と医師カウンセリングがライトセットの内容となります。
妊活セットでは、これらに加え男性ホルモン基礎値の検査やクラミジア抗体検査、風疹抗体検査などが対象となります。
フルスクリーニングセットでは精液検査のDFI検査、TAC検査が追加となり、DNAに損傷がある割合や酸化ストレスに対する抵抗力を検査で調べることができます。
※DFI:DNAに損傷がある割合
TAC:酸化ストレスに対する抵抗力
男性ブライダルチェックの詳細は以下のページをご覧ください。
関連ページ:男性ブライダルチェック
ブライダルチェックに利用できる助成金はある?
自治体によってはブライダルチェックなどの検査に利用できる助成金制度を設けている場合があります。
ここでは東京都を例に以下の2つを取り上げます。
・不妊検査等助成事業
・TOKYOプレコンゼミ
不妊検査等助成事業
東京都の不妊検査等助成事業の概要は以下のとおりです2)。
東京都の不妊検査等助成事業については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックで使える助成金とは?東京・神奈川・埼玉・千葉の制度や保険適用について解説
TOKYOプレコンゼミ
TOKYOプレコンゼミのヘルスチェックに関する概要は以下のとおりです3)。
TOKYOプレコンゼミについては、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
ブライダルチェックを受けるときのクリニックの選び方
ブライダルチェックは、医療機関によって受けられる検査が異なるため、選び方の明確な基準は決まっていませんが、以下のような点を参考に選ぶと良いでしょう。
ブライダルチェックに関するよくある質問
Q:ブライダルチェックで問題が見つかったらどうすればいいですか?
もしブライダルチェックで何らかの異常や病気が見つかった場合は、その結果に基づいて、より詳しい検査や治療が必要になることがあります。
例えば、子宮筋腫や卵巣嚢腫など婦人科疾患が見つかった場合は、状態に応じた治療を行い、より安心した状態で妊娠計画を立てることが重要です。
Q:ブライダルチェックの検査結果はどのくらいでわかりますか?
医療機関によって異なりますが、一般的には1~2週間程度です。
検査項目によっては結果が出るまでにさらに時間がかかるものや、逆により早期に結果がでる場合もあるため、詳細は各医療機関のホームページなどを確認しましょう。
Q:ブライダルチェックを受ける割合は?
ブライダルチェックを受ける人の割合は、大規模で公的に集計されたデータは今のところありません。
ただし、参考になるデータとして、国立社会保障・人口問題研究所が実施している2021年の出生動向基本調査では、実際に不妊症の検査や治療経験がある人は22.7%であり1)、約4.4組に1組のカップルで実際に経験があるという結果になっています。
この結果は、約20年前の2002年調査時の12.7%4)から大きく増えており、不妊に関わる問題は以前よりも身近なものになってきていることが窺えます。
これらの内容に関しては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックを受ける割合は?受けるタイミングや助成金について解説
おわりに
参考文献
1)国立社会保障・人口問題研究所. 第16回出生動向基本調査報告書(2021年調査). 国立社会保障・人口問題研究所ウェブサイト
https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16_ReportALL.pdf
2)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
3)東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
4)国立社会保障・人口問題研究所. 第12回出生動向基本調査報告書(2002年調査). 国立社会保障・人口問題研究所ウェブサイト
https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/DATA/pdf/129001.pdf

