男性側の不妊検査や不妊治療、ブライダルチェックについては、自治体によっては助成金制度を利用できる場合があります。この記事では、東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県における男性不妊に関連した助成金制度を解説します。
※制度は改定されることがあるため、最終的にはお住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
男性の不妊検査・不妊治療で使える助成金はある?ブライダルチェックで使用できるか?
2026年5月現在、男性の不妊検査・不妊治療で使える助成金があるかどうかについては都道府県・市区町村ごとの地方自治体によって異なります。また、助成金の制度があったとしても、助成金の対象者や対象となる治療、助成内容も各地方自治体によって異なります。
代表例として東京都を挙げると、東京都では「東京都不妊検査等助成事業」として、男性女性問わず不妊検査・不妊治療で活用できる助成金があります。ただし、将来の妊娠に向けてヘルスチェックを行いたいなど、健診目的で受けるブライダルチェックは、助成金の対象とならない場合もあります1)。
男性の不妊検査・不妊治療やブライダルチェックで助成金を利用できるかどうかは、お住まいの自治体のサイトをご覧いただくか、自治体に直接ご確認ください。
本記事ですべての地方自治体の助成金についての情報を掲載することは難しいため、ここでは当クリニックの所在地である東京都を中心とした一都三県における各地方自治体の、男性の不妊治療・不妊検査で使える助成金の有無と概要を記載します。
東京の男性不妊に関連する助成金制度
ここでは東京都の助成金制度と、トーチクリニック恵比寿院・上野院がある渋谷区・台東区の男性不妊に関連する助成金制度を紹介します。
東京都:東京都不妊治療費助成事業
東京都では、不妊治療における経済的負担を軽減するため、不妊治療費助成制度を実施しています。2026年4月から制度が拡充され、保険診療で実施する体外受精・顕微授精の自己負担分も、新たに助成対象となりました。
助成対象となる治療
保険診療の体外受精および顕微授精に加え、これらと併用して実施した先進医療にかかる費用が対象です2)。対象となるのは、2026年4月1日以降に開始した治療です。「治療の開始日」は、1回の移植に向けて初めて治療計画を立てた日とされています。(2026年3月以前の治療は、過去の助成制度が適用され、先進医療部分のみが助成の対象となります。)
なお、体外受精や顕微授精を全額自己負担で実施した場合は対象外です。また、人工授精などの一般不妊治療も対象外となります。
助成額と回数の上限
助成額は、1回の治療につき上限15万円です。ただし、高額療養費制度や付加給付金が支給される場合は、それらの金額を差し引いて助成されます。
助成を受けられる回数は、保険診療における体外受精・顕微授精の回数制限に準じて決まっています。
- 治療開始日の妻の年齢が39歳までの場合:6回まで
- 治療開始日の妻の年齢が40歳〜42歳の場合:3回まで
子どもが生まれた場合は、1子ごとに助成回数がリセットされます。2人目以降の治療でも、改めて上記の回数まで助成を受けることが可能です。
ただし、2022年度以降に東京都の「特定不妊治療費(先進医療)助成制度」で助成を受けた回数は、今回の制度の助成回数に通算されます。
対象となる方
助成を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 「1回の治療」の初日から申請日まで、法律上の婚姻関係があること(事実婚も対象)
- 「1回の治療」の初日から申請日までの間、夫婦いずれかが継続して東京都内に住民登録をしていること
- 保険診療として体外受精および顕微授精を受診していること
- 先進医療を受診している場合は、登録医療機関で受診していること
- 「1回の治療」の開始日における妻の年齢が43歳未満であること
法律婚の場合は、夫婦の一方が都外在住でも、都内在住の方を申請者にすることで助成を受けられます。事実婚の場合は、住民票の続柄や住所などの要件が、法律婚より細かく規定されています。
詳細については東京都福祉局のホームページをご確認ください。
申請時の注意点
申請受付開始日は令和8年(2026年)10月1日です。必要書類や申請方法など手続きの詳細は、今後、東京都福祉局のホームページで公表される予定のため、最新の情報をご確認ください。
東京都不妊治療費助成事業の詳細は、以下の記事でも解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:【2026年4月】東京都の不妊治療の助成が拡充!体外受精などの保険診療の自己負担額も上限15万円まで助成対象に
東京都:不妊検査等助成事業
東京都では、子どもを望む夫婦が早期に検査を受け、必要に応じて適切な治療を開始することができるよう、「不妊検査等助成事業」を実施しています1)。
助成の対象となる内容
保険医療機関において実施された不妊検査や、薬物療法・人工授精などの一般不妊治療が対象です。治療に伴い、保険薬局で調剤された薬剤費も含まれます。
男性の不妊検査は、以下のような検査が対象です。
- 精液検査
- 内分泌検査
- 画像検査
- 精子受精能検査
- 染色体・遺伝子検査 等
助成額と回数、期間
助成額は、夫婦1組につき1回限り、上限50,000円で、検査や治療に実際に払った自己負担額の範囲内で助成されます。
助成の対象となる期間は、検査開始日から1年間です。
対象となる方
検査開始日から申請日まで、夫か妻のいずれかが東京都に住民登録している法律婚または事実婚の夫婦が対象となります。そして、検査開始日における妻の年齢が40歳未満であることが条件です。
申請時の注意点
申請には、住民票や医療機関が発行する証明書類などが必要です。また、申請は原則として電子申請となっています。申請については、東京都福祉局のホームページをご確認ください。
東京都不妊検査等助成事業については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:東京都で不妊治療をしたら最大5万円の助成金を受け取れる?対象者や助成を受けられる検査・治療、必要な書類を解説
東京都:TOKYOプレコンゼミ
東京都では、若い世代がプレコンセプションケアに興味・関心を持ち、取り組むきっかけとなるよう、妊娠前からの健康管理や不妊に関する基礎知識を学ぶ講座、TOKYOプレコンゼミを実施しています3)。
TOKYOプレコンゼミを受講し、検査について理解した上で希望する場合に、東京都が指定する検査を実施すると、検査費用などが助成の対象となります。
主な要件として、18〜39歳の都内在住者が対象です。また、前述の不妊検査等助成事業と異なり、独身の男性でも助成の対象となります。
男性は以下のような検査の費用が対象です。
- 精液一般検査(精液量、精子濃度、総精子数、白血球数、総運動率、前進運動率、正常精子形態率)
- 精液精密検査(DFI検査)
- 男性ホルモン検査(テストステロン、LH、FSH、プロラクチン)
- 精巣超音波検査
助成金額は、男女ともに上限3万円です。医療機関での相談時の診察費用や指定の検査の費用も助成対象に含まれます。
TOKYOプレコンゼミは、プレコンゼミの公式サイトから登録することで参加できます。受講はZoomを利用したオンライン形式で実施されています。開催日時や申し込み開始日については、ホームページで随時お知らせされていますので、最新の情報は東京都のホームページをご確認ください。
TOKYOプレコンゼミについては、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
東京都(渋谷区):渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成
渋谷区では、保険診療による一般不妊治療を受けた夫婦を対象に、自己負担額の一部を助成する「渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成」を実施しています4)。
この制度では、保険診療の範囲内で実施された不妊検査やタイミング法、人工授精などの一般不妊治療にかかる費用が対象となります。なお、対象となる方は、検査や治療を開始した時点で妻の年齢が40歳以上43歳未満の方です。
東京都の「不妊検査等助成事業」に似ている助成制度ですが、大きく異なる点は対象年齢(東京都は妻の年齢が40歳未満)であり、年齢に応じて使い分けることになります。
助成は夫婦1組につき1回限りで、保険適用後の自己負担額について、夫婦合算で最大5万円まで助成されます。対象となる期間は、検査や治療を始めた日から1年間です(夫婦それぞれで開始日が異なる場合は、早い方の日付から計算します)。
ただし、1年以内でも妊娠が判明した場合や、生殖補助医療へ切り替えた場合、もしくは自己負担額が5万円に達した場合は、その時点で助成期間は終了します。制度の詳しい内容や申請方法については、渋谷区のホームページをご確認ください。
東京都(渋谷区):渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成
渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成は、保険診療による生殖補助医療を受けた夫婦を対象に、自己負担額の一部を助成する制度です5)。この制度は、令和4年4月1日以降に行った以下の治療が対象となります。
- 保険診療の生殖補助医療(体外受精・顕微授精)
- 生殖補助医療と併用して行った先進医療(タイムラプス、内膜スクラッチ法など)
- 生殖補助医療の一環として保険診療で行った男性不妊治療(精子採取の手術など)
対象となる方は、法律婚または事実婚関係にある夫婦です。申請時に夫婦のいずれかが渋谷区に住民登録があり、治療開始日時点の妻の年齢が43歳未満であることが条件です。
助成額は、1回の治療につき自己負担額の合計に対して、上限10万円です。また、男性不妊治療を行った場合は、生殖補助医療とは別に、さらに上限10万円が助成されます。
なお、2026年4月に東京都の不妊治療助成金が拡充されたため、制度の内容が変更となる旨が渋谷区のホームページに記載されています。制度の詳しい内容や申請方法については、渋谷区のホームページをご確認ください。
東京都(台東区):台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業
台東区では、東京都の特定不妊治療(先進医療)助成事業で上限15万円の助成を受けた方に対して、自己負担額の一部を追加で助成する「台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業」を実施しています6)。
ただし、東京都の特定不妊治療(先進医療)助成事業は2026年4月に改正され、現在は「東京都不妊治療費助成事業」という名称で制度が再編されています。これに伴い、台東区の助成金についても、今後内容が変更される可能性があります。
なお、2026年5月時点では、台東区のホームページに改正後の情報がまだ反映されていません。最新の制度内容や申請の可否については、台東区へ直接お問い合わせください。
関連ページ:台東区「台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業」
神奈川県の男性不妊に関連する助成金制度
神奈川県では、体外受精や顕微授精による不妊治療が2022年から健康保険の適用となったことを受け、県として実施していた不妊治療費助成制度は終了しました7)。そのため2026年5月現在は、県独自の助成金制度は設けられていません。
一方で、県内の市町村の中には、不妊治療にかかる費用の一部を助成している自治体があります。
藤沢市、横須賀市など複数の自治体が保険診療とあわせて行われる先進医療の費用を助成しています。
横浜市や川崎市は、2026年5月現在は不妊症の助成は実施していませんが、2回以上の流産を繰り返す等の不育症に対する検査を助成しています。
助成の内容や金額、申請条件は自治体ごとに異なるため、居住地の市町村ホームページで最新情報を確認してください。
埼玉県の男性不妊に関連する助成金制度
埼玉県では、「新ウェルカムベイビープロジェクト」の関連事業として、早期不妊検査費助成事業を実施しています。不妊検査を受ける夫婦を対象に、検査費用の一部が助成されます8)。
対象は、申請時に法律上の婚姻関係または事実婚関係にあり、男女そろって不妊検査を受けた方です。不妊検査開始時に女性の年齢が43歳未満であることが条件とされています。助成額は、女性の年齢が35歳未満の場合は上限3万円、35歳以上では上限2万円です。
なお、ブライダルチェックがこの助成事業の対象になるかは、県では判断ができない旨が埼玉県の公式サイトでも明記されています。受けようとしているブライダルチェックが助成の対象になるかは、受診先の医療機関やお住まいの市町村窓口に事前に確認しましょう。
事業の詳細や実施市町村一覧などの情報は埼玉県ホームページからご確認ください。
千葉県の男性不妊に関連する助成金制度
千葉県では、2022年から体外受精や顕微授精が健康保険の適用となったことを受け、県独自の不妊治療費助成事業は終了しています。そのため2026年5月現在は、県として治療費を直接助成する制度はありません。
一方、県内の一部市町村では、不妊検査や不妊治療にかかる費用の一部を補助する独自制度を設けています。
例として、千葉市はプレコンセプション健診費用助成事業にて、将来の健康や妊娠・出産に備えるための検査が助成対象、柏市ではプレコン(ゼミ・健診)で健診費用の助成や特定不妊治療費(先進医療)助成事業があります。
参考ページ
千葉市:プレコンセプション健診費用助成事業
柏市:はぐはぐ柏 妊娠を希望する方
※2026年5月時点で、令和8年度の柏市のプレコン(ゼミ・健診)の実施は未定となっています。
詳細な要件や事業の内容は異なるため、各自治体のサイトでご確認ください。
不妊症の原因の約半数は男性にもある
WHO(世界保健機関)による不妊の原因の調査では、男性のみに原因があるのが24%、男女ともに原因があるのが24%であり、不妊の約半数は男性にも原因があるとされています。

不妊の検査・治療の経験がある夫婦は約4.4組に1組といわれ、妊娠を希望するカップルにとって、不妊は身近な問題です。
このような状況から、これから妊活を本格的に開始する場合やなかなかパートナーが妊娠しない場合、男性側にも不妊検査やブライダルチェックなどで問題がないかを確認することが推奨されます。
男性不妊の検査やブライダルチェックはどのようなことをする?
男性のブライダルチェックでは、妊娠に関わる基本的な検査を行います。中心となるのは精液検査で、精液量や精子の数、運動率などを確認します。血液検査で、ホルモンバランスや感染症の有無を調べる場合もあります。また、生活習慣や既往歴を確認する問診や、医師による検査結果の説明も含まれることが一般的です。
男性不妊の検査がどこでできるか、検査内容などの詳細については以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
関連記事: 男性不妊の検査はどこでできる?検査内容や費用、受けるタイミングについても紹介
男性不妊の治療はどのようなことをする?
男性不妊の治療は、原因を把握できた場合には、主に手術や薬の投与で治療します。例えば、男性不妊の代表的な原因である精索静脈瘤は、手術での治療が一般的です。勃起不全の場合には薬が処方されます。
また、精子の数や運動率の改善を目的として、生活習慣の見直しに取り組む場合やホルモン療法などで治療をすることもあります。
原因が明らかでない場合や、早期の妊娠を希望する場合には、不妊治療である人工授精や体外受精、顕微授精を検討する場合もあります。
人工授精
人工授精は、採取した精液を洗浄、濃縮などの処理をして、状態のよい精子を排卵の時期に合わせて子宮内に注入する治療法です。
軽度の乏精子症、性交障害、タイミング法が成功しなかった場合などに、適用になる治療法です。
人工授精の詳細については、以下のページもあわせてご覧ください。
関連ページ:人工授精
体外受精
体外受精は、採取した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻す治療法です。人工授精で妊娠に至らなかった場合や、人工授精では効果が期待できない程度に精子濃度が低い・精子運動性が不良なケース、両側卵管閉塞と診断された場合などで適用されます。
体外受精の詳細については、以下のページもあわせてご覧ください。
関連ページ:体外受精
顕微授精
顕微授精は、顕微鏡を使いながら良好な精子を1個選択し、採取した卵子に対して直接精子を注入し受精させる治療法です。
男性不妊のケースでは、精子の数が極端に少ない場合や運動率が低い場合、体外受精で受精が成立しにくかった場合などに適用されます。
顕微授精の詳細については、以下のページもあわせてご覧ください。
関連ページ:顕微授精
男性不妊に関するよくある質問
男性不妊について、よく聞かれる質問への回答をまとめました。
Q. 精液検査やブライダルチェックは助成金の対象になる?
精液検査やブライダルチェックが助成金の対象になるかどうかは、個人の状況(不妊検査として実施しているか)や、検討している助成金の制度、各自治体の要件によって異なります。
東京都を例に挙げると、「不妊検査等助成事業」や「TOKYOプレコンゼミ」で精液検査を含む検査費用が助成対象となる場合がありますが、各助成の詳しい要件や医療機関の対応状況なども確認するようにしましょう。
Q. 保険適用の不妊検査・不妊治療だと助成金は使える?
保険適用の不妊治療・不妊検査に助成金が使えるかどうかについては、都道府県・市区町村によって異なります。地域によっては、保険適用外のみ助成金が使える場合もあるので、お住まいの市区町村へお問い合わせください。
おわりに
参考文献
1)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
2)東京都福祉局. 東京都不妊治療費助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin-senshiniryou/gaiyou
3)東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
4)渋谷区. 渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成. 渋谷区ウェブサイト
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/ninshin/funin-fuiku/ippanhunintiryou.html
5)渋谷区. 渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成. 渋谷区ウェブサイト
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/ninshin/funin-fuiku/seisyokuhojyo.html
6)台東区. 台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業. 台東区ウェブサイト
https://www.city.taito.lg.jp/kosodatekyouiku/kosodate/mokutei/kenkou_iryou/ninshin/teate_josei/senshiniryou.html
7)神奈川県. 神奈川県不妊に悩む方への特定治療支援事業は終了しました. 神奈川県ウェブサイト
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/cnt/f854/index.html
8)埼玉県. 新ウェルカムベイビープロジェクト関連事業. 埼玉県ウェブサイト
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/boshi/welcome_baby.html
