排卵誘発とは〜不妊治療で卵巣刺激・排卵誘発を行う目的・理由〜
排卵誘発薬には内服薬、注射剤、点鼻薬などがあります。これらの薬剤を使用する場合は、(1)排卵障害がある場合、(2)排卵障害はないが、タイミング指導などで妊娠しない場合や治療をステップアップする場合、(3)生殖補助医療を行うために採卵をする場合などが挙げられます。
採卵と、排卵誘発の種類について
排卵誘発薬を使用しない自然周期採卵と、排卵誘発薬を使用する調節卵巣刺激採卵の二つの方法があります。
自然周期採卵
これは、排卵誘発薬を使わず、自力の排卵による自然な月経周期で育った卵子を採卵する方法です。
メリット
- 内服薬や注射剤を使わないため、身体的負担が少ない。
- 次回の月経周期でも連続で採卵が可能。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といった副作用を抑えやすくなる。
ケアすべき点や懸念点
- 排卵が予想より前後して起こると採卵できない場合がある。
- 採卵できる数は通常1個となるため、採卵しても採卵した卵がうまく成長しない場合、胚移植できない可能性があり、その場合には再度採卵を行う必要がある。
調節卵巣刺激採卵
卵巣刺激は、内服薬、注射剤、点鼻薬を単独または組み合わせて行います。薬剤の量により、卵巣への刺激度を調整することが可能です。
①クロミフェン療法(低刺激)
薬剤
クロミフェン(内服)
治療スケジュール
通常月経3日目から5日間服用します。服用回数は1日1回または1日2回です。
※クリニックや医師の判断によってはクロミッドの代わりにフェマーラという飲み薬を使用することもあります。
メリット
・内服薬のみであり簡便である。
・通院回数が少なく済む。
・副作用(多児妊娠やOHSSなど)が少ない。
ケアすべき点や懸念点
・子宮内膜が薄くなる可能性があるため、新鮮胚移植せずに一度凍結し、次周期以降の移植にすることがある。
②GnRHアンタゴニスト法(中刺激〜高刺激)
薬剤
hMG製剤・・HMGあすか(注射)
FSH製剤・・ゴナールエフ皮下注ペン、ゴナールエフ(注射)
クロミフェン(内服)
セトロタイド(注射)
治療スケジュール
クロミフェンは通常月経3日目から5日間服用します。
hMG製剤やFSH製剤は、通常、月経3日目から卵胞が育つまで毎日もしくは2日に1回打ちます。卵胞が一定の大きさまで育ったことを確認できたら、排卵を防ぐためにセトロタイドを打ちます。
メリット
・多くの卵子を採取できる可能性がある。
・個々に応じた薬剤の投与量を調整できる。
・採卵前に排卵してしまう可能性が低い。
ケアすべき点や懸念点
・自己注射が難しい場合には、頻回に通院する必要がある。
・クロミッド法やショート法と比較すると費用が高くなる可能性がある。
③GnRHアゴニスト・ショート法(中刺激)
薬剤
hMG製剤やFSH製剤(注射)+ブセレリン点鼻薬(点鼻)
治療スケジュール
点鼻薬は、通常、月経開始2日目から1日3回、8時間毎に左右の鼻腔内へ1プッシュずつ噴霧します。期間は、採卵日の2日前まで続けます。注射の場合は、通常、月経3日目から卵胞が育つまで毎日打ちます。
メリット
・採卵前に排卵してしまう可能性が低い。
・多くの卵子を採取できる可能性がある。
ケアすべき点や懸念点
・OHSSの副作用のリスクがある。
・ロング法と比べると採卵前に排卵してしまうリスクがある。
④GnRHアゴニスト・ロング法(高刺激)
薬剤
hMG製剤やFSH製剤(注射)+ブセレリン点鼻薬(点鼻)
治療スケジュール
ショート法との違いは点鼻薬を使用する期間です。ロング法では、点鼻薬は、前周期の月経2日目または黄体期中期(28日周期であれば21日目)から開始します。開始のタイミング以外はショート法のスケジュールと一緒です。
メリット
・採卵前に排卵してしまう可能性がとても低い。
・多くの卵子を採取できる可能性がある。
ケアすべき点や懸念点
・OHSSの副作用のリスクがある。
・薬の使用量が多くなるので費用が高額になる可能性がある。
このように自然周期採卵から排卵誘発薬を用いた様々な卵巣刺激方法があります。
年齢、卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数)、不妊原因、パートナーの精子所見、副作用のリスク、身体的・社会的・経済的負担、本人希望など多角的な視点から判断します。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
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