AMH検査は2022年から一部の不妊治療で保険適用となり、さらに2024年からは一般不妊治療でも保険適用の対象に追加されています。保険適用で検査を受ける場合は保険点数に従った費用がかかりますが、自費診療として実施する場合は医療機関によって金額が異なります。この記事ではAMH検査の費用や保険適用の条件、助成金などについて解説します。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査にかかる費用|保険適用・自費診療
AMH検査にかかる費用として、保険適用される場合は保険点数にしたがった金額が請求されます。
保険適用時におけるAMH検査そのものの費用は以下のとおりです1)。
※6か月に1回に限り算定できる
上記のほかに初診料や再診料、血液採取に関連する点数などが合計されるため、検査全体として+αの費用がかかります。
一方で自費診療の場合は医療機関ごとに費用が異なります。具体的な費用として、AMH検査そのものに対して5,000〜8,000円前後を設定している医療機関が一般的です。
AMH検査の保険適用の条件と注意点
AMH検査が保険適用となる条件と注意点は以下のとおりです2)。
AMH検査は、保険診療の不妊治療を進める過程で、医師が必要と判断した場合に保険適用されます。一方、ブライダルチェックや任意の不妊検査など、不妊治療以外の目的で受ける場合は、原則として自費診療となります。
AMH検査が一般不妊治療にも保険適用となるまでの背景
AMH検査はもともとは保険適用で検査されるケースは限られていましたが、2022年4月の診療報酬改定で主に体外受精や顕微授精など高度生殖医療を実施する場面で保険適用となりました。そして、2024年6月からは一般不妊治療でも保険適用となる改定が行われました。
ここではAMH検査がどのような目的で実施されてきたのか、一般不妊治療で保険適用に至るまでの経緯と背景について解説します。
2022年4月から調節卵巣刺激療法における治療方針の決定に限り保険適用へ
2022年4月から、AMH検査は調節卵巣刺激療法における治療方針の決定を行う場合に、保険が適用されるようになりました3)。調節卵巣刺激療法は主に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療で、妊娠率を高めるため排卵誘発剤を使って複数の卵子を同時に育て、効率よく採卵する治療法です。
それまでは不妊治療におけるAMH検査は自費診療が一般的であり、厚生労働省が2021年に公開した調査では、AMH検査の約94%が自費で実施されていたと報告されています4)。
2022年の診療報酬改定では不妊治療に関連する診療項目が保険適用となり、AMH検査も一部が保険適用となったため大きな転換点となりました。
2024年6月より一般不妊治療でも保険適用に
2024年6月の診療報酬改定では、AMH検査は「卵巣機能の評価及び治療方針の決定」を行う場合も保険適用となりました2)。
従来の「調節卵巣刺激療法の治療方針の決定」に限らず、卵巣機能の評価と治療方針の決定が対象範囲となったため、タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療に伴うAMH検査でも保険適用となりました。
このため、2024年6月からはより多くの不妊治療患者さんのAMH検査が、保険適用となったことになります。
AMH検査の費用負担を軽減する助成金・制度
都道府県などの各自治体では、AMH検査も対象となる助成制度を設けている場合があります。例えば、東京都ではTOKYOプレコンゼミのヘルスチェックがあります5)。
TOKYOプレコンゼミのヘルスチェックについては以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
AMH検査を将来の妊娠やライフプランを考える第一歩に
ここではAMH検査の基本から、将来の妊娠やライフプランに役立てていくポイントについて解説します。
AMH検査について正しい知識をつけ、将来に生かせるようにしましょう。
AMH検査とは
AMH検査は、卵胞から分泌されるAMH(抗ミュラー管ホルモン)というホルモンを測定する検査です。これを測定することで、卵巣に残っている卵子の数(卵巣予備能)を推測できます。
ただし、AMHは卵子の個数を知るための指標であり、卵子の質までは評価できません。そのため、妊孕性(にんようせい:妊娠する力)を調べるには、超音波検査やその他のホルモン検査と組み合わせて総合的に評価することが大切です。
AMH検査については以下のページにて詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:AMH検査とは?目的や流れ・費用・受けるタイミングを解説
AMH値の高さ・低さからわかること
AMHが高い場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われるケースがあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、両側の卵巣が腫大・肥厚・多嚢胞化し、月経異常や不妊に多毛・男性化・肥満などを伴う症候群と定義され、生殖年齢女性の5〜8%にみられます6)。
一方で、AMH値が低い場合は、卵巣内の卵子が少なくなっている可能性を考慮し、より積極的な治療方針を検討する際の目安となります。
また、AMHが明らかに低い場合には早発卵巣不全(POI)という疾患の可能性もあります。早発卵巣不全(POI)とは40歳未満で、卵巣機能が低下してしまう疾患です。原因不明のケースがほとんどとされ、妊娠を希望する場合には、生殖医療や専門医への受診が推奨されています。
AMH検査に関するよくある質問
AMH検査に関するよくある質問にお答えします。
Q:AMH検査を無料で受ける方法はありますか?
一般的にAMH検査は無料で受けられるものではありません。保険適用の条件を満たす場合は診療報酬で定められた分の費用がかかり、それ以外の場合は医療機関が定める自費診療の費用がかかります。
ただし、自治体の助成制度を利用することで、費用の一部もしくは全額が助成の対象となるケースがあります。
上述のとおり、東京都のTOKYOプレコンゼミのヘルスチェックではAMH検査も対象となり、条件を満たせば検査にかかる費用が上限30,000円まで助成されます。
TOKYOプレコンゼミのヘルスチェックに関しては、以下の記事で詳細を解説しているのであわせて参考にしてください。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
Q:AMH検査は意味ないというのは本当ですか?
AMH検査は、主に卵巣内に残っている卵子の数(卵巣予備能)を推測するための検査です。この検査だけでは妊孕性を判断できないため、検査を受ける目的によっては「意味がない」と受け取られることがあります。
例えば、妊娠のしやすさを知りたいという目的だと、AMH検査だけでは期待した情報が得られないことがあります。
AMH検査は卵巣予備能を把握する際の参考となる検査であり、妊孕性を評価する際は、ほかの検査とあわせて総合的に判断することが大切です。また、排卵誘発薬の効きやすさや卵巣の病気の可能性を把握する目的でも意味のある検査です。
AMH検査の意味に関しては、以下の記事で詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。
関連記事:AMH検査は意味ないの?検査でわかることや活かすためのポイントを解説
Q:自宅用のAMH検査キットで調べてもいいですか?
自宅用の検査キットは、手軽にAMHを測定できるため忙しい人や医療機関に受診する余裕がない人には便利な手段です。
ただし、AMH検査は結果の解釈が難しい場合も多く、一度の結果だけで安心したり不安になったりするのは適切ではありません。自己採血がうまくできていない可能性のほか、測定誤差や個人差も考慮が必要なケースがあります。
自宅用のAMH検査キットは便利な手段ではありますが、今後の妊活などをしっかり見据えている場合は、医療機関で検査を受けることも検討しましょう。
おわりに
参考文献
1)厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部を改正する告示 令和6年厚生労働省告示第57号 別表第一(医科点数表). 厚生労働省ウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
2)厚生労働省. 令和6年度診療報酬改定の概要 (医科全体版). 厚生労働省ウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001252076.pdf
3)厚生労働省. 令和4年度診療報酬改定の概要. 厚生労働省ウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001079187.pdf
4)厚生労働省. 令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/000766912.pdf
5)東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
6)日本産科婦人科学会. 産婦人科 診療ガイドライン - 婦人科外来編 2023. 日本産科婦人科学会ウェブサイト
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf


