都内在住でブライダルチェックを受ける場合、東京都の助成制度である「不妊検査等助成事業」や「TOKYOプレコンゼミ」の対象となることがあります。この記事では、これらの助成制度の内容や、東京のクリニックであるトーチクリニックのブライダルチェックについて解説します。
ブライダルチェックとは

ブライダルチェックは、結婚や妊娠を控えたカップルの健康状態を確認するための検査です。
- 子宮や卵巣の健康状態に問題はないか
- 妊孕性(にんようせい:妊娠のしやすさ)に問題はないか
- 妊娠・出産に影響を及ぼす病気はないか
上記のような項目をチェックする目的で、具体的には超音波検査や女性ホルモン基礎値、性感染症の検査、医師によるカウンセリングなどを実施します。
自然妊娠を考え始めた段階でブライダルチェックを受けることで、万が一問題があった場合にも早期に対応できます。
ブライダルチェックの東京の助成金
東京都でブライダルチェックに利用できる助成制度は、主に以下の2つです。
- 不妊検査等助成事業
- プレコンセプションケアに係る取組(TOKYOプレコンゼミ)
トーチクリニックは、これらの助成制度の対象施設です。「助成金を使って検査を受けたい」「自己負担をなるべく抑えたい」という人は、それぞれの内容と利用条件を確認しておきましょう。
不妊検査等助成事業
東京都の不妊検査等助成事業は、都内の保険医療機関で行う不妊検査や一般不妊治療にかかった費用の一部を助成する制度です。助成額は夫婦1組につき1回、上限50,000円までとなります。
対象者(要件)について
助成制度を利用するには、以下の要件を全て満たす必要があります1)。
- 検査開始日から申請日までの間、夫婦いずれかが継続して都内に住民登録をしていること(事実婚等も含む)
- 検査開始日における妻の年齢が40歳未満であること
- 助成対象期間内に保険医療機関において夫婦ともに助成対象の検査を受けていること
事実婚のケースや詳細な申請条件については、東京都のホームページもご確認ください。
対象となる検査と治療
助成の対象となる検査や治療は以下のとおりです1)。
注意点として、ヘルスチェックを行いたいといった検診目的で受けたブライダルチェックは助成の対象になりません。医師が不妊の疑いがないかなどを調べる目的で対象の検査を実施し、助成金の証明書を発行してもらった場合は助成の対象となります。
トーチクリニックでは検査後に助成金申請に必要な証明書を発行します(助成金申請のための助成金証明書作成費用3,500円は別途必要となります)。
対象期間
助成の対象期間は検査開始日から1年間となります。この期間に行われた検査の費用が助成対象となります。
夫婦での検査開始日が異なる場合は、いずれか早い日から起算します。
なお、助成対象の1年以内であっても、妊娠が判明した場合や特定不妊治療(体外受精や顕微授精など)に移行した場合は、それ以降の費用は対象外となり、対象期間が終了する点に注意しましょう。

出典:東京都福祉局 不妊検査等助成事業の概要 を参考に作成
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
申請書類
申請に必要な書類は以下の3点です。
不妊検査等助成事業受診等証明書は所定の様式を医療機関で記入します。トーチクリニックでは検査後に証明書を発行いたします(助成金証明書作成費用3,500円が別途必要となります)。
住民票の写しと戸籍全部事項証明書については、現在の居住地と本籍地の市区町村が異なる場合、同じ市区町村の役所で同時に発行してもらえないことがあるため、事前に確認するようにしましょう。
また、検査開始日と申請日時点で居住の市区町村が異なる場合など、個別の注意点については、東京都のホームページをご確認ください。
申請期限

出典:東京都福祉局 不妊検査等助成事業の概要 を参考に作成
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
助成金の申請期限は検査開始日から2年以内です。夫婦で検査開始日が異なる場合は、いずれか早い日からの起算となります。
検査や治療期間に助成対象期間の1年を要したか否かに関わらず、申請期限は開始日から2年以内となります。
※申請期限が2年となるのは、令和6年4月2日以降に開始した検査です。令和6年4月1日以前に開始した検査の申請期限は、最大でも令和7年6月30日までとなっています1)。
申請から振込までの流れ

出典:東京都福祉局 不妊検査等助成事業の概要 を参考に作成
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
申請は、申請書類の受付、書類の審査、承認決定通知書の送付、助成金の振り込みという流れになります。書類の不備がなく審査が問題なく進めば、申請受理日から承認決定通知書の送付まで約2〜3か月後、助成金の振り込みまで約3〜4か月後(通知から約1か月後)となります。
振込先口座には、申請者名義の口座を指定するなどの注意点もあります。詳細は東京都のホームページをご確認ください。
TOKYOプレコンゼミ

出典:東京都福祉局 プレコンセプションケア を参考に作成
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
TOKYOプレコンゼミとは、都内在住の18〜39歳の男女を対象に、東京都が実施する妊娠・出産に関する正しい知識を学ぶための講座です2)。
講座を受講し、検査について正しく理解した上で希望する人は、実際に検査と医療機関からの助言・相談を受けて、負担した費用のうち最大30,000円の助成を受けられます。講座は動画などで受講することができ、30,000円は女性・男性それぞれの金額となります。
TOKYOプレコンゼミは、結婚の有無にかかわらず参加できる制度です。都内在住の対象年齢の人であれば、未婚の人も受講が可能であり、助成金も受け取ることができます。
なお、不妊検査等助成事業とTOKYOプレコンゼミは実施目的がそれぞれ異なり、併用して申請することはできないため注意しましょう。
対象の検査と検査結果を踏まえた助言・相談は登録医療機関で受ける必要があります。トーチクリニックはこの登録医療機関であり、ブライダルチェックに準じた内容の検査を対象としています。
TOKYOプレコンゼミの受講は、東京都のサイトから申し込む必要があるため、ご注意ください。対象条件や内容の詳細は、以下の記事で解説しています。
関連記事:TOKYOプレコンゼミの検査と助成金とは?torch clinicで始めるプレコンセプションケア
ブライダルチェックと不妊検査の違い
ブライダルチェックと不妊検査の主な違いは以下のとおりです。
ブライダルチェックは、妊娠・出産に向けた健康状態を確認するための自由診療の検査です。
一方、不妊検査は主に以下のような方に行われます。
- 避妊をしていないのに1年以上妊娠しない人
- 過去に不妊の原因となりうる病気(性感染症、子宮内膜症など)を経験した人
現在は、不妊検査は保険適用になるケースも多くなっています。気になる症状がある場合は、早めに医師へご相談ください。
ブライダルチェックを受けるタイミング
ブライダルチェックは、妊娠を望む全ての人におすすめしたい検査です。
特に女性は、30歳を過ぎると妊孕性が徐々に低下し、35歳を過ぎるとその低下がさらに加速します3)。また、性感染症やホルモン異常は自覚症状がないまま進行し、不妊症の原因になることもあります。
将来的に妊娠を考えている人は、ブライダルチェックを受けて、自分の体の状態を把握しておくと安心です。
ブライダルチェックを受けるタイミングについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
関連記事:ブライダルチェックを受けるタイミングは?
トーチクリニックは東京でブライダルチェックを提供
トーチクリニックでは、女性・男性それぞれに対応したブライダルチェックを提供しています。当院のブライダルチェック外来には、2022年7月から2024年6月までの約2年間で2,000名以上が受診されました。
忙しい方でも通いやすいクリニックを目指し、以下のように診療体制を整えています。
- 恵比寿駅・上野駅から徒歩1分
- 土日・夜間の開院
- 専用アプリと後日会計システムで待ち時間を短縮
当院にはパートナーの有無に関係なく、おひとりで受診される方も多いです。
万が一、ブライダルチェックで異常が見つかった場合でも、将来の家族計画に合わせた納得いく治療方針を一緒に検討・提案します。
ブライダルチェックに関心がある人や、「まずは話を聞いてみたい」といった人も、ぜひお気軽にご相談ください。
ブライダルチェックの検査項目と費用
トーチクリニックでは、女性・男性それぞれに向けたセットプランを用意しています。ブライダルチェックの内容は医療機関ごとに異なりますが、検査項目や費用の一例として参考にしてください。
女性ブライダルチェックの検査項目と費用
当院では、女性向けブライダルチェックとして、以下の3つのセットプランをご用意しています。
各プランの検査項目や注意点の詳細は、以下もあわせてご覧ください。
関連記事:女性ブライダルチェック
男性ブライダルチェックの検査項目と費用
当院の男性向けブライダルチェックは、以下3つのセットプランがあります。
各プランの検査項目や注意点の詳細は、以下もあわせてご覧ください。
関連記事:男性ブライダルチェック
ブライダルチェックの検査の流れ
ここではトーチクリニックのブライダルチェックの流れを紹介します。医療機関によって進み方は異なりますが、受診時の大まかな流れを理解しておきましょう。
女性ブライダルチェックの検査の流れ
女性ブライダルチェックの流れは、以下のとおりです。
男性ブライダルチェックの検査の流れ
男性ブライダルチェックは、以下の流れで行います。
ブライダルチェックに関するよくある質問
ここでは、ブライダルチェックの必要性や検査前の準備に関する、よくある質問について解説しました。
Q:ブライダルチェックが必要ないケースは?
ブライダルチェックは、必ずしも全ての方に必要な検査ではありません。
例えば、以下のような方は、検査の必要性が低い場合があります。
- 妊娠をまったく考えていないカップル
- すでに不妊治療・検査を受けている方
ただし、性感染症やホルモン異常などは自覚症状がないまま進行していることも多く、ブライダルチェックを受けて気づくケースもあります。
将来的に妊娠を検討している場合は、早めに検査を受けておくと安心です。
Q:女性は生理周期の何日目に検査を受けるべき?
女性ホルモンの検査結果を評価しやすい月経1〜5日目に受診いただくと検査がスムーズです。
月経1〜5日目は、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)などの値を適切に評価しやすいため、ホルモンバランスの状態を正確に把握できます。
Q:男性は検査前に何日の禁欲期間が必要?
WHOのガイドラインでは、精液検査の前に2〜7日間の禁欲期間が推奨されていますが、トーチクリニックでは、少し短めの2〜3日の禁欲を推奨しています。禁欲期間の指定は医療機関によって異なるため、検査を受ける前に確認しましょう。
精液検査の禁欲期間に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
関連記事:精液検査や不妊治療の採精でおすすめの禁欲期間について
おわりに
参考文献
1)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou
2)東京都福祉局. プレコンセプションケア. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare
3)日本産科婦人科学会. 不妊症. 日本産科婦人科学会ウェブサイト
https://www.jsog.or.jp/citizen/5718/