【2026年4月】東京都の特定不妊治療の助成が拡充!体外受精などの保険診療の自己負担額も上限15万円まで助成対象に

市山 卓彦
市山 卓彦 医師
上野院 院長 婦人科 生殖医療科 医師
お二人の道のりが明るく照らされるよう「理解」と「納得」の上で選択いただく過程を大切にしています。エビデンスに基づいた高水準の医療提供により「幸せな家族計画の実現」をお手伝いさせていただきます。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

東京都では2026年4月から、特定不妊治療費の助成制度が拡充されます。これまで、先進医療に該当する部分の費用のうち7割までが助成の対象でした。今回の変更では、体外受精など保険診療で行われる生殖補助医療の自己負担額も新たに助成の対象になります。この記事では、制度の改正内容や対象となる治療、具体的な費用例を紹介します。

※2026年3月時点の解釈となり、今後新しい情報に伴う解釈の変更の可能性があります。

東京都の不妊治療助成制度の改正ポイント

東京都の不妊治療費における助成の拡充イメージ
東京都の不妊治療費における助成の拡充イメージ

東京都では2026年4月から、不妊治療費の助成制度が拡充されます。改正の主なポイントは以下のとおりです1)

拡充前(2026年3月まで) 拡充後(2026年4月〜)
助成対象 先進医療費のみ 保険診療の自己負担+先進医療費
助成の割合 7割 10割(全額)
上限額 15万円 15万円

助成制度に所得制限はありません。

申請受付は2026年10月から始まる予定ですが、2026年4月以降に開始した治療についてはさかのぼって助成の申請ができます。

助成の拡充対象となる不妊治療

今回助成の拡充対象となる不妊治療は、保険診療として実施した生殖補助医療(ART)です。生殖補助医療には、主に以下の治療や処置が含まれます。

  • 体外受精(c-IVF)
  • 顕微授精(ICSI)
  • 胚凍結、胚培養、胚移植

胚凍結や胚培養、胚移植は、体外受精や顕微授精に伴って実施されます。ここでは、体外受精、顕微授精について詳しく解説します。

体外受精(c-IVF)

体外受精とは、卵巣で育った卵子を採卵術で体の外に取り出し、精子と受精させる治療方法です。卵子と精子を同じ培養液に入れ、精子の力で受精させる、自然に近い方法で受精を促します。

体外受精では排卵誘発剤を使い、複数の卵胞を育ててから卵子を採取します(排卵誘発剤を使用せず単一卵子を採取する方法もあります)。その後、培養した胚(受精卵)は次の2つの方法のいずれかで子宮に移植されます。

  • 新鮮胚移植:採卵した月経周期内に胚を子宮に移植する方法
  • 凍結融解胚移植:胚を一度凍結保存し、別の月経周期に融解して移植する方法

関連ページ:体外受精

顕微授精(ICSI)

顕微授精は、細いガラスの針を使って精子を卵子の細胞質内に直接注入して授精させる方法です。顕微授精では、培養士が顕微鏡で精子の形や動きを確かめながら、良好な精子を選んで授精を行います。

顕微授精は、精子の数が極端に少ない場合や運動率が低い場合など、体外受精では受精が難しいケースに選択される治療です。

採卵・胚の培養・移植のプロセスは体外受精と同様で、新鮮胚移植または凍結融解胚移植のいずれかの方法で胚を子宮に戻します。

関連ページ:顕微授精

助成金を活用した場合の費用例

トーチクリニックでの費用例をもとに新制度の助成金を活用した場合の自己負担額の目安をご紹介します。なお、実際の費用は治療内容や薬剤の使用量によって異なります。あくまでも参考としてご確認ください。

また、拡充する助成金制度については2026年3月時点の解釈となり、今後新しい情報に伴う解釈の変更の可能性があります。

関連ページ:治療法ごとの概算費用

ケース1:体外受精(採卵+新鮮胚移植)

新鮮胚移植は、採卵した周期内に培養した胚をそのまま子宮に移植する方法です。胚を凍結しないため、治療期間が短くなりやすいという特徴があります。

以下は、低刺激で排卵誘発を行い、新鮮胚移植を実施した場合の費用例です(保険適用の点数は2026年3月時点のものを参照)。

※採卵3個・受精方法は体外受精のみ・得られた胚盤胞1個とした場合

採卵日までにかかる費用(薬剤・診察・検査等) 約17,290円
採卵〜新鮮胚移植までにかかる費用 約76,990円
治療費の合計 約94,280円
東京都の助成金(2026年4月〜) -94,280円
助成制度を利用した場合の自己負担額 0円

※保険が適用された後の自己負担額(3割)の金額

ケース2:体外受精・顕微授精(採卵+凍結融解胚移植)

凍結融解胚移植は、採卵後に培養した胚を一度凍結保存し、別の周期に融解して子宮に移植する方法です。複数の胚を凍結しておくことで、移植のタイミングを調整しやすいという特徴があります。

以下は、高刺激で排卵誘発を行い、凍結融解胚移植を実施した場合の費用例です(保険適用の点数は2026年3月時点のものを参照)。

※採卵15個・受精方法は体外受精および顕微授精・得られた胚盤胞を4個とした場合

採卵日までにかかる費用(薬剤・診察・検査等) 約44,010円
採卵〜胚凍結までにかかる費用 約127,960円
移植決定までにかかる薬剤費 約8,510円
移植周期開始〜妊娠判定日までにかかる検査・診察費用 約9,980円
移植実施にかかる費用 約42,000円
治療費の合計 約232,460円
東京都の助成金(2026年4月〜) -150,000円
助成制度を利用した場合の自己負担額 82,460円

※保険が適用された後の自己負担額(3割)の金額

助成の対象外となる不妊治療

今回の助成制度では、特定不妊治療(体外受精や顕微授精などの生殖補助医療)が対象となります。タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療は、対象外となりますのでご注意ください。

一方で、東京都では一般不妊治療を対象とした「不妊検査等助成事業」を別途実施しています。不妊検査や人工授精などの一般不妊治療にかかった費用について、夫婦1組につき1回、上限5万円まで助成されます2)

不妊検査等助成事業の詳しい内容については、東京都のホームページをご確認ください。

おわりに

トーチクリニックには生殖医療専門医が在籍し、一般不妊治療(タイミング療法、人工授精)に加えて、高度生殖医療(体外受精、顕微授精など)も提供しています。

恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

不妊治療で新たなステップを考えている方は、お気軽にご相談ください。

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参考文献

1)東京都政策企画局. 2026年度の注目事業をご紹介! 〜2026年、東京もっと良くなる~. 東京都政策企画局ウェブサイト
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/2050-tokyo/r8syuyoujigyou

2)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou