妊娠は何歳までできる?確率と不妊治療について

市山 卓彦
市山 卓彦 医師
上野院 院長 婦人科 生殖医療科 医師
お二人の道のりが明るく照らされるよう「理解」と「納得」の上で選択いただく過程を大切にしています。エビデンスに基づいた高水準の医療提供により「幸せな家族計画の実現」をお手伝いさせていただきます。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

妊娠の年齢と妊娠率

女性の年齢別の妊孕率
女性の年齢別の妊孕率

出典:日本生殖医学会『女性の年齢と妊孕力の変化』を参考に20〜24歳の妊孕率を100%として作成 
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html

女性の妊娠率は、20代前半をピークとしてゆるやかに低下していきます。32歳を過ぎると妊娠率の減少は加速し、37歳を過ぎるとさらに急激に低下してしまいます。

こちらの記事もご参考ください。

加齢とともに妊娠率が下がる理由

女性ホルモンの減少

女性ホルモンの分泌量は20~30代前半にピークをむかえ、35歳ごろから閉経にむけて急激に減少していきます。女性ホルモンは妊娠の準備や維持に必要であるため、加齢でホルモン分泌量が減少すると、妊娠も成立しづらくなります。 

卵子の老化

卵子の元である卵母細胞は、生まれる前の胎生期に作られ、生まれたあとは増えることはなく減少していきます。そのため加齢に伴い、卵子は減少するとともに、再生しないため活性酸素などの影響で老化が進みます。老化した卵子は質が落ちるため、受精しずらくなったり、染色体数の異常が起こりやすくなります。そのため、年齢とともに妊娠率の低下や流産率の上昇につながります。

婦人疾患になる可能性が高くなる

年齢が上がると、子宮筋腫、子宮内膜症のような婦人科疾患を持つリスクが高まります。これらの疾患による卵巣機能の低下や、卵管の詰まり、着床率の低下が、不妊症の原因と関わることも考えられます。

不妊治療をした場合の妊娠率

生殖補助医療の年齢別成績2022年
生殖補助医療の年齢別成績2022年

出典:日本産婦人科学会. 2022年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績を参考に作成
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf

30歳代後半になると卵子の質の低下や、染色体異常が生じやすくなり、不妊治療の成功率は低下します。日本産科婦人科学会の報告によれば、体外受精のような生殖補助医療による妊娠率は35歳時点で約4割であり、40歳では約3割、45歳では約1割へと低下します。また、流産率も37歳ごろから大幅に上昇するため、不妊治療を行っても妊娠が難しくなってしまいます。

不妊治療の内容に関しては以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

妊娠率を上げるためにできること

年齢が上がると、妊娠率を上げることは現実的に難しい面もあるため、若いうちから妊娠を意識することが推奨されます。まずは、原因を早期発見するためにブライダルチェックを受けることも選択肢となります。

また、ストレスなども卵巣機能を低下することが知られていますので、食生活や十分な睡眠のような規則正しい生活習慣を送ることが大切です。妊活についてはこちらもご参考ください。

よくある質問

高齢出産の定義は何歳ですか?

日本産婦人科学会では、35歳以上の初産を高齢出産と定義づけています。女性の社会進出や晩婚化に伴い高齢出産は増えてきており、2000年以降は初産の1割が高齢出産であるといわれています。ただし、不妊治療における高齢の定義は定められていません。

不妊治療は何歳までに始めたらいいですか?

卵子の数および質は年齢とともに低下していきます。そのため年齢が上がるに連れて原因不明不妊の割合も上昇していきます。年齢による不妊の影響を避けるためにも、医学的には、できるだけ早期に不妊検査や治療に取り掛かるべきでしょう。

不妊治療のステップアップに関しては以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

おわりに

トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。

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