卵子凍結は痛い?クリニックによる対処方法なども紹介

最終更新日時:
2024-05-23
市山 卓彦
市山 卓彦 医師
院長 婦人科 生殖医療科 医師
2010年順天堂大学医学部卒。2012年同大学産婦人科学講座に入局、周産期救急を中心に研鑽を重ねる。2016年国内有数の不妊治療施設セントマザー産婦人科医院で、女性不妊症のみでなく男性不妊症も含めた臨床及び研究に従事。2019年には国際学会で日本人唯一の表彰を受け、優秀口頭発表賞および若手研究者賞を同時受賞。2021年には世界的な権威と共に招待公演に登壇するなど、着床不全の分野で注目されている。2019年4月より順天堂浦安病院不妊センターにて副センター長を務め、2022年5月トーチクリニックを開業。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

卵子凍結の目的と内容について

卵子凍結とは、「将来の妊娠に備え、あらかじめ良質な卵子を凍結保存しておくこと」を言います。精子と受精させる前の未受精卵を凍結することから未受精卵凍結とも言います。

女性は生まれた時点で、生涯の卵子数が決まっており、新たに作られることはありません。そのため、加齢に伴い、卵子は量も質も低下していき、妊孕性(妊娠する能力)は低下していきます。

卵子凍結は、もともと抗がん剤や放射線の治療によって妊孕性(妊娠する能力)が低下する前に、卵子を凍結保存する目的で行われてきました(医学的適応の卵子凍結)。近年は健康な女性が将来の妊娠・出産の可能性を保ちながら、キャリアアップなどのライフプランを実現するために卵子を凍結保存する需要が高まってきています(ノンメディカルな卵子凍結)。

凍結された卵子は将来的に受精させ、子供を産むために半永久的に保存可能です。このプロセスによって、女性が自身の生殖能力をコントロールし、個人の妊娠計画を達成するための選択肢が広がります。

卵子凍結や凍結保存した卵子の利用には、多くの医療機関が年齢制限を設けています。そのため、将来的な妊娠計画を考えている場合は、早い段階で医師と相談することが重要です。これにより、適切な時期に卵子を凍結し、将来の妊娠の可能性を確保するための準備ができます。

助成金(未受精卵子凍結を目的とした)は自治体によって様々であるため、かかりつけの病院にご相談ください。       

卵子凍結で痛みが発生するポイントは

卵子凍結において、痛みが発生する可能性のあるポイントは下記3箇所です。

1、【検査】 血液検査:ホルモンの基礎値やAMH値(卵子の数)等を確認します。

2-①【注射】排卵誘発剤:卵胞(卵子)を発育させて、排卵を促す

*経口薬もありますが、多くの卵子を獲得するためには注射薬が必要です。

2-②【注射】排卵誘発剤:成熟卵子の排卵を促す

*点鼻薬もありますが、それぞれにメリット、デメリットがあります。各々の患者様に合わせて薬剤が提案されます。

*医療機関によっては排卵誘発剤を使用しない自然周期での採卵を行っています。

3、【採卵】成熟した卵子を採取するための処置を行います。卵胞に針を刺して卵子を取り出します。痛みの感じ方は人それぞれですが、特に発育した卵子の数が多い場合は針を刺す回数が多くなり、痛みが強く感じる場合があります。

医療機関によっては静脈麻酔で眠っている間に採卵することもあります。

卵子凍結にともなう痛みに対して不安を抱えていらっしゃる方は多いかと思います。個人に合わせて痛みの不安に寄り添い、負担の少ない処置を心掛けてくれる医療機関を選ぶことが重要です。

また、痛みに関する不安をしっかりと伝え、卵子凍結までのプロセスや痛みを生じる可能性について理解し、納得することも大切です。

トーチクリニックの卵子凍結(未受精卵子凍結)と、痛みへのケアなどの工夫のご紹介

トーチクリニックの卵子凍結の特徴

  1. 複数個の卵胞発育を目指す高刺激による卵巣刺激法が選択可能
  2. 静脈麻酔による鎮静下での採卵術が選択可能(眠っている間に採卵が終了します)
  3. 採卵の前周期から採卵周期の月経調整が可能
    月経調整を行うことにより、採卵術の日程を予め計画することが可能です。
    ※経過によって変動する可能性があるため日程を確約するものではありません。
  4. 休診日がなく土日祝日も対応可能
  5. 院内処方と後日のアプリ決済によって診察後すぐ帰宅可能
  6. 専門のカウンセラーが在籍
    ※ご希望の方はカウンセラーによるカウンセリングをご案内致します。

また、個人に合わせたテーラーメイドの排卵誘発方法を決定

当院では日本生殖医学会の「未受精卵子 あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン」に基づき、原則として40歳未満の女性を対象とし社会的適応の未受精卵子凍結を実施しております。40歳以上で卵子凍結を希望される場合、超高齢出産のリスクを考慮しお受けできるかを慎重に検討させていただきます。凍結卵子の使用は生殖医学会ガイドラインに則り、生殖可能年齢(46歳未満)までとさせていただいております。

トーチクリニックの痛みケアの工夫

痛みは投与する方法によって、以下のようにコントロールが可能です。

【排卵誘発剤:卵胞(卵子)を発育させて、排卵を促す薬】

経口薬 皮下注射 筋肉注射
痛み +++
効果 +++ +++
費用

【排卵誘発剤:排卵誘発剤:成熟卵子の、排卵を促す薬】

点鼻薬 皮下注射 筋肉注射
痛み +++
効果 低い +++ ++
費用

【採卵】

メリット デメリット
座薬 ・術中の痛みを緩和する

・術後は比較的スムーズに帰宅可能

・術中に違和感や痛みを感じる場合がある
局所麻酔 ・術中は針による痛みを感じない

・術後も比較的スムーズに帰宅可能

・術中に違和感を感じる場合がある

・腹壁の圧迫による痛みを感じることがある

静脈麻酔 ・術中は痛みを感じない

・眠った状態のため、恐怖感を感じない

・術後に不快感を感じる場合がある

*希望があれば無麻酔で行っている医療機関もあります。

年齢や卵巣の状態によって、卵子凍結に使用する薬剤は医療機関側で選択される場合もあります。それぞれの薬剤にはメリットとデメリットがありますので、事前に十分な説明を受けて、納得の上で治療を始めることが大切です。

トーチクリニックでは、卵子凍結に臨む患者が安心して治療に取り組めるよう、医師による治療の診断やカウンセリングに加え、心理カウンセラーが心理的なご負担・人に話しづらい悩みなど医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考えさせていただく機会も設けております。

おわりに

トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。

恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週6日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ご予約はウェブからも受け付けております

また、すでに不妊治療を受けている方々のお悩みやセカンドオピニオンにも対応しております。セカンドオピニオンを含めたクリニックへのよくあるご質問はこちらをご参考ください。