不妊治療の保険適用の条件はどこまで?メリットや注意点も解説

最終更新日時:
2024-01-30
市山 卓彦
医師
torch clinic医師

2022年4月より不妊治療の保険適用範囲が拡大

2022年4月から、日本で人工授精、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療が保険適用されることになりました。この決定は、日本生殖医学会が、国内で行われている生殖補助医療や不妊治療の各種技術について、有効性などのエビデンスを評価し、まとめた生殖医療ガイドラインなどを参考にしています。

生殖補助医療においては、採卵から胚移植までの基本的な診療は全て保険適用となります。また、患者さんの状態に応じて追加的な治療が必要な場合については、先進医療と位置づけられるものに関しても保険診療と併用が可能です。

健康保険が適用される検査

不妊の原因検索として行われる検査は、令和4年3月以前から引き続き保険適用となります。不妊の原因は、男性不妊、女性不妊、原因のわからない機能性不妊の3つに大別されますが、これらを判断するための、身体診察や画像検査、精子の所見、血液検査なども適用されます。

健康保険が適用される治療法

2022年4月からは、体外授精などの基本的な治療は全て保険適用となりました。

具体的には、一般不妊治療といわれるタイミング法人工授精、高度生殖医療の一連の流れである、採卵・採精、体外授精顕微授精、受精卵・胚の培養と凍結保存、そして胚移植が適用されます。また、これらの基本的な治療に加えて、「先進医療」として認定されている治療法は、保険診療と組み合わせて治療を行うことが可能です。

不妊治療の保険適用条件

タイミング法や人工授精といった一般不妊治療には、保険適用の年齢・回数制限はありません。しかし生殖補助医療の場合は以下の制限があります。

年齢・回数の制限(生殖補助医療)

初回の治療開始時点の女性の年齢保険適用の回数の上限
39歳以下の方1子ごとに、通算の「胚移植」回数6回まで
40歳~42歳の方1子ごとに、通算の「胚移植」回数3回まで
43歳以上の方保険適用にならない

  • 回数は「胚移植」の回数でカウントし、採卵には回数制限がありません。
  • 治療中に43歳を迎えた場合、その周期の胚移植で保険診療は終了となります。
  • 妊娠12週未満での流産は、胚移植の回数1回にカウントします。妊娠12週以降の流早産の場合は、0回にリセットされます。

不妊治療の保険適用のメリット

経済的負担が軽くなる

不妊治療が保険適用となると、窓口での負担額は治療費の3割となります。これは、普段風邪を引いた時などに病院にかかり、負担する金額と同じ割合です。不妊治療が保険適用となったことで、経済的負担が軽くなるといえます。

高額療養費制度の対象になる

不妊治療により月の治療費が高額になる場合は、「高額療養費制度」の対象となることもあります。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月で上限を超過した場合、その差額が支給される制度で、上限額は年齢や所得に応じて決定されます。

※詳細は所属されている健康保険組合にお問い合わせください。

価格が統一される

これまでの不妊治療は自費診療が中心であり、各医療機関がそれぞれ自由診療価格を決めていました。しかし保険診療であれば国が統一の価格を決めるため、価格が標準化・透明化されます。

注意点

原則的に国の助成金が廃止

保険適用化に伴い、国が行っていた不妊治療の助成金制度が原則廃止されました。

しかし自治体によっては独自に助成金事業を行っています。例えば東京都では、先進医療(保険適用外だが保険診療との併用が認められているもの)に対する助成を行う「東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業」や、区ごとの助成金事業が存在します。

詳しくは各自治体のホームページをご覧ください。

混合診療の禁止

混合診療とは保険診療と自費診療を併用することであり、不妊治療であっても原則禁止されています。受けたい治療が保険診療や先進医療に含まれない場合、その他の治療もすべて自己負担となるため、注意が必要です。

まとめ

不妊治療の保険適用化によって多くの場合で経済的負担が軽減され、不妊治療に対するハードルが下がったといえます。しかし生殖補助医療においては保険適用の回数・年齢に制限があり、また行う治療によっては保険適用外となることもあります。

実際にどのような治療を行うのか、経済的負担はどの程度になるのかを知るために、まずはお気軽にトーチクリニックにご相談ください。

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