体外受精は、治療前の検査や卵巣刺激、採卵、胚移植など複数のステップを経て進められます。スケジュールは胚移植の移植法によっても大きく変わってくるため、自分がどのような方法で体外受精を進めるか、知っておくことも重要です。この記事では体外受精の一般的なスケジュールや流れ、通院回数などについて解説します。
体外受精(c-IVF)の全体的な流れの例
体外受精のスケジュールは医療機関によって詳細は異なりますが、一般的な処置内容はおおむね共通しています。
トーチクリニックの体外受精の流れの例は以下のとおりです。
スケジュールは、卵胞の発育やホルモン状態に個人差があるため、あくまで目安となります。排卵誘発を行う時期は、卵胞の発育状態により異なるため、必要に応じてステップ3と4の間に1〜2回の診察が追加で行われます。
ステップ1:診察①(月経1〜3日目)
月経1〜3日目にご来院いただき、診察を行います。このとき、採血や超音波検査を行い、卵巣やホルモンの状態を詳しく確認します。
体外受精の排卵誘発法はこれらの検査結果や年齢、希望に合わせて決めていきます。
ステップ2:卵巣刺激(月経3日目〜)
月経3日目頃から、内服薬や注射を使って卵巣の刺激を始めます。卵巣刺激とは、薬の力を利用して複数の卵胞(卵子が入っている袋)を同時に成長させる処置です。
自然な月経周期では1個しか育たない卵子を、薬を使うことで複数個まとめて育てます。体外受精ではできるだけ多くの成熟した卵子を採取することを目指します。
ステップ3:診察②(月経8〜9日目)
卵巣刺激を開始して約1週間後の月経8〜9日目に、再びご来院いただき、診察を行います。
このとき、採血と超音波検査を行い、卵胞の発育やホルモンの状態を確認し、十分な発育状態であれば採卵日を決定します。卵胞の発育には個人差があるため、採卵日が決まるまでの間に、1〜2回ほど追加で通院していただくこともあります。
ステップ4:排卵誘発:採卵の約36時間前
排卵誘発とは、排卵を促すための薬剤を投与する処置のことです。注射または点鼻薬で薬剤を投与します。
排卵は薬の投与から36時間以降に起こるとされているため、採卵のスケジュールに合わせて投与時間が決まります。使用するタイミングは医師から指定されますので、指示どおりに使用してください。
ステップ5:採卵・受精(排卵誘発の36時間後)
採卵とは、卵巣から成熟した卵子を取り出す処置のことです。一般的に排卵誘発から約36時間後に行います。
採卵は、超音波で卵胞の位置を確認しながら細い針で吸引して採取します。当日はパートナーの精子も用意いただき、回収した卵子と体外受精を行います。
採卵と体外受精に関しては、以下のページで詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。
ステップ6:胚移植(採卵から3〜5日目または次周期以降)
胚移植は、受精して分割が進んだ「胚(受精卵)」を子宮に戻す処置です。
胚移植には、以下の2種類の方法があります。
- 新鮮胚移植:採卵と同じ周期に胚を移植する方法
- 凍結融解胚移植:胚を凍結保存し、別の周期に体調を整えてから移植する方法
どちらの方法で進めるかは、本人の卵巣の状態や体調などを踏まえて、医師と相談しながら決めていきます。
新鮮胚移植であれば一般的に採卵後3〜5日目、凍結融解胚移植であれば次回以降の月経周期において、細いカテーテルで子宮内膜に胚を移植します。
胚移植に関しては、以下のページで詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。
ステップ7:妊娠判定(胚移植の9〜11日以降)
初期胚移植であれば11日後、胚盤胞移植であれば9日後にあたる妊娠4週目0日以降にご来院いただき、妊娠判定を行います。妊娠判定は採血で行い、血液中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の値を測定して判定します。
陽性であれば、後日、超音波検査を実施して胎嚢が確認できたら臨床的妊娠となります。
妊娠判定に関しては、以下のページで詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。
関連ページ:妊娠判定と予定日の確定について
体外受精の具体的なスケジュール表の例
体外受精の具体的なスケジュールは、胚移植の方法(新鮮胚移植と凍結融解胚移植)によっても大きく変わります。詳細なスケジュールは卵胞の発育や医療機関の方針によっても変わりますが、ここでは一般的な例をスケジュール表で紹介します。
新鮮胚移植の体外受精のスケジュール例

凍結融解胚移植の体外受精のスケジュール例


体外受精のスケジュールにおけるQ&A
ここでは、体外受精のスケジュールについてよく寄せられる質問に回答します。
Q. 体外受精における通院回数は何回ですか?
体外受精の通院回数は、卵胞の発育状況や医療機関の方針によっても異なってくるため、一概に何回とは言えません。
しかし、一般的には生理周期の開始時点からカウントする場合でも、採卵までに3〜5回程度、さらに採卵後の胚移植と妊娠判定で最低でも2回は受診が必要となります。事前の検査なども含むと、さらに数回の通院が必要です。
厚生労働省が作成している「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」では、月経周期ごとの通院日数目安として、合計5〜12回と解説されています1)。
Q. 体外受精実施までの最短スケジュールは?
最短スケジュールは胚移植の方法によっても異なってきます。
新鮮胚移植の場合は、採卵と同じ月経周期で移植します。そのため、月経周期が28日の場合、月経開始から数えると最短1か月程度で妊娠判定まで行える可能性があります。
一方で凍結融解胚移植の場合は、採卵の次周期以降の胚移植となるため、早くても2か月程度が目安です。
なお、上記のスケジュールは月経周期が開始してからの日数であり、実際には治療法の選択や事前の不妊検査などを実施する期間なども考慮すると、追加で期間が必要となります。
Q. 体外受精をスケジュール面で仕事と両立させるためにすることは?
不妊治療と仕事を無理なく続けていくためには、働く環境と治療環境の両方を整えることが大切です。職場の環境や家庭内の状況にも左右されますが、活用できるものは積極的に利用することを心がけましょう。
例えば以下のようなものは活用したい代表例となります。
- 職場の制度(不妊治療に特化した休暇、フレックスタイム、テレワークなど)
- 公共機関の支援ツール(厚生労働省の不妊治療連絡カードなど)
- 通いやすい医療機関(自宅や職場から近い、駅から近い、土日夜間の診療など)
不妊治療と仕事の両立については、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:不妊治療と仕事の両立は難しい?できない理由と両立させるための対策を解説
なお、トーチクリニックは、アクセスしやすい立地と土日を含む診療時間で、仕事との両立をサポートしています。
Q. 体外受精で妊娠した場合、出産予定日はどのように計算するのでしょうか?
妊娠週数は、通常は妊娠前の最後の月経開始日を妊娠0週0日とし、40週0日にあたる日を出産予定日とします。
体外受精の場合はより正確な移植日を基準にして妊娠週数を計算できます。例えば、初期胚を移植した場合は移植日を妊娠2週3日、胚盤胞移植の場合は移植日を妊娠2週5日として妊娠週数を計算し、40週0日の出産予定日に備えることになります。
Q. 体外受精では生理から何日目で採卵しますか?
採卵日は卵胞の発育状況によって決まります。そのため、生理から何日目かが明確に決まっているわけではありませんが、一般的に生理開始から10〜16日目くらいの範囲で実施されることが多くなります。
Q. 体外受精のスケジュールでは凍結胚移植はいつしますか?
凍結融解胚移植では、自然周期とホルモン補充周期での移植があり、どちらで実施するかによってもスケジュールが異なります。
自然周期では、月経周期の排卵日に合わせて胚移植を行うことになります。排卵が確認できたら移植をすることになるため、月経周期が比較的安定している人などが対象となります。
薬剤を使用するリスクなどが抑えられるメリットがありますが、排卵日の特定のために受診回数が増えたり、移植がキャンセルになる可能性などのデメリットがあります。
ホルモン補充周期は卵胞ホルモン(エストロゲン)剤や黄体ホルモン(プロゲステロン)剤を使用して、子宮内膜を厚くして着床に適した環境を準備し、胚移植をする方法です。
一般的には生理開始の2〜3週後に移植日が設定されます。自然周期に比べ受診回数が少なく、確実に胚移植ができるメリットがありますが、薬剤の使用が体への負担に感じる場合はデメリットになります。
凍結融解胚移植のスケジュールについては、以下の記事でもまとめているのであわせてご覧ください。
関連記事:凍結融解胚移植のスケジュールは?具体的な流れやポイントを解説|新鮮胚移植との違いやメリット・デメリットも紹介
Q. 体外受精の男性のスケジュールは?
体外受精で男性が把握しておく必要があるスケジュールとして、採卵のタイミングで精子を用意することです。
一般的にはマスターベーションで採精し、受精に用います。自宅で採精するか、医療機関で採精するかは医療機関のルールによっても異なるため事前に確認しておきましょう。
また、採精の際には禁欲期間が指定される場合があります。精液検査の際は2〜7日程度の禁欲期間を設けるケースが多いですが、体外受精の際はもう少し短い禁欲期間を設定することもあるため、この点も医療機関の指示を確認するようにしましょう。
禁欲期間については、以下の記事でも詳しくまとめているのであわせてご覧ください。
関連記事:精液検査や体外受精・人工授精の禁欲期間は?何日溜めるかや精子の質など解説
おわりに
参考文献
1)厚生労働省. 不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック. 厚生労働省ウェブサイト
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001663161.pdf

