体外受精の採卵とは?スケジュールや痛み・個数について解説

最終更新日時:
2024-01-30
市山 卓彦
医師
torch clinic医師

採卵とは

採卵とは、排卵誘発剤によって大きくなった卵胞から卵子を得ることをいいます。一般的には、腟から針で卵胞を穿刺して内部の液を吸引することで、卵子を回収します。

体外受精の採卵手順とスケジュール

採卵手順について、詳しくはこちら

また、採卵当日のおおまかな流れについて動画でも説明しています (こちらからご覧いただけます)。

卵巣刺激

生理の周期にあわせ、指示された排卵誘発剤の内服が注射を行い、卵胞を刺激して発育させます。その後、卵胞の大きさにあわせて採卵2日前の夜に、卵胞を成熟させるホルモン剤の服用(注射か点鼻スプレー)をしていただきます。成熟卵を得るために非常に重要な過程ですので、指定された服用時間を忘れたり遅れたりしないようにしましょう。

採卵

採卵当日は、あらかじめ朝7時に排卵を抑える座薬を挿入していただきます。その後来院していただき、麻酔下で採卵を行います。1時間ほど休んでいただき、お身体に問題がなければご帰宅いただけます。

採卵の時間について

採卵の時間は、採卵の個数にもよりますが、平均5~10分ほどで終わります。麻酔のある場合は、前後に麻酔の時間が加わります。

採卵の個数について

排卵誘発によって成熟した卵胞の数で採卵の個数も変わりますが、平均すると10個前後です。採卵数が少ない場合は局所麻酔のみで採卵することができますが、多い場合には静脈麻酔が必要です。

採卵の痛みについて

膣壁は元々痛みを感じにくい部位ですので、採卵の個数によっては麻酔が必要ない場合もあります。一般的に、局所麻酔や静脈麻酔を行う場合は、痛みはほとんどありません。

採精

卵子は、体外に出て時間が経つほど受精能が低下するため、採卵当日には精子も必要となります。そのため凍結精子をあらかじめ準備していない場合は、当日朝にマスターベーションで採取していただき、精子を持参していただきます。

受精

採卵で取り出した卵子を受精させるには、体外受精と顕微授精という2種類の方法があります。受精障害の有無や、精子所見によっては、顕微授精が推奨されることがあります。

体外受精(IVF)

体外受精では、培養した卵子に精子をふりかけることで受精を促します。顕微授精に比べ高度な技術が不要で、価格も安価です。精子自体の力を利用するため、自然に近い授精方法ともいえます

顕微授精(ICSI)

顕微授精では、卵子に細いガラス針を刺して精子を直接卵子に注入します。顕微鏡下で行う高度な授精法であり、体外受精ではうまく受精できない場合に行われます。

胚培養

採卵した卵子を受精させて子宮に戻すまでの間、培養器で受精卵を育てます。通常は採卵後3〜6日間行われます。卵管で通常行われる受精卵の成熟を模す必要があるため、体内環境に近づけた状態で培養を行います。

胚移植

採卵で得られた卵子を受精させた後、子宮内に受精卵を戻すことを胚移植といいます。採卵した周期にそのまま行う新鮮胚移植と、一度凍結した受精卵を移植する凍結胚移植があります。移植胚は、3日目の初期胚移植と、5日目の胚盤胞移植の2通りがあります。

妊娠判定

受精卵が着床すると、胎盤から特定のホルモンが分泌されます。このホルモンを血液検査で検出できた場合、妊娠が成立したとみなします。移植1回での妊娠率は、年齢にもよりますが、約23%とされています。

体外受精の採卵後の過ごし方

採卵後1時間ほど安静にしていただき、検査で問題がなければそのままご帰宅いただけます。当日は激しい運動や性交渉を避け、湯船には浸からずシャワー浴にしてください。また、麻酔を行った場合は、当日は車の運転を避けていただきます。

よくある質問

体外受精の採卵前に気をつけることはありますか?

麻酔を行う場合は食べ物が肺に流れ込む誤嚥のリスクがあるため、当日の採卵前には食事ができません。排卵に関するお薬の服用を忘れないようにしてください。

採卵の痛みはどれくらいありますか?

採卵の際の痛みの感じ方は個人差がありますが、一般的には、発育した卵胞数が多いと穿刺の回数も増えるため、痛みが強くなります。鎮痛薬や麻酔を使用することができます。また、子宮内膜症などの既往歴や卵巣の位置によって、痛みが強い場合もあります。

採卵後に痛みがあります。どれくらい続きますか?

採卵後の痛みは徐々に軽減しますが、鎮痛剤を服用していただいて大丈夫です。ただし、痛みが持続する場合や強くなる場合は、採卵に伴う合併症の可能性がありますので、必ず受診をご相談ください。