不妊治療の助成金は?東京都と渋谷区・台東区の制度を例に体外受精なども含めわかりやすく解説

市山 卓彦
市山 卓彦 医師
上野院 院長 婦人科 生殖医療科 医師
お二人の道のりが明るく照らされるよう「理解」と「納得」の上で選択いただく過程を大切にしています。エビデンスに基づいた高水準の医療提供により「幸せな家族計画の実現」をお手伝いさせていただきます。
医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

2022年4月より不妊治療が保険適用となり、国からの不妊治療に対する助成金の制度は終了となっています。一方で都道府県や市区町村の自治体では助成金の制度を設けているケースもあり、健康保険と併せて利用できる場合があります。この記事では東京都の助成制度を中心に、不妊治療に対する助成金について解説します。

なお、この記事は2026年4月時点の情報であり、自治体の助成制度は変更される可能性があるため、最新の情報もあわせてご確認ください。

不妊治療の助成金と保険適用の現状

不妊治療は2022年4月から保険適用になり、現在は治療費の3割が自己負担になるケースが一般的です。2022年3月以前は健康保険の対象外であったため、全額自己負担となっていましたが、保険適用になることでより身近な治療となりました。

一方で、以前は不妊治療に対して国からの助成金(特定不妊治療費助成事業)を受けることができましたが、保険適用になることでこの助成制度は終了となっています。

ただし、都道府県や市区町村単位では、2026年現在も助成制度を実施している自治体が多く、保険適用でかつ自治体の助成金を受け取ることが可能となっています。

不妊治療の助成金は国と自治体の両方でもらえる?

上述のとおり、国としての不妊治療の助成制度は終了しており、現在では国と自治体の助成金の両方をもらえることはありません。

一方で、多くの自治体では不妊治療に対する独自の助成金制度を設けています。保険適用と不妊治療の自治体の助成制度の両方を受けることは可能です。

たとえば東京都では、都内在住者を対象に「東京都不妊治療費助成事業」を実施しています。さらに、市区町村によっては東京都の助成に上乗せする形で、独自の助成制度を設けている場合もあります。

不妊治療に対して受けられる助成制度があるか、助成金の総額がいくらになるのかは、居住している自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の制度を事前に確認しておくと良いでしょう。

東京都の不妊治療の助成金は?

東京都の不妊治療における助成金の制度は主に2種類あります。

・東京都不妊治療費助成事業:体外受精・顕微授精や先進医療の助成金
・東京都不妊検査等助成事業:不妊検査やタイミング法・人工授精の助成金

それぞれ詳しく解説します。

東京都不妊治療費助成事業:体外受精・顕微授精や先進医療の助成金

東京都不妊治療費助成は、2026年4月より助成金の対象範囲が拡大し、生殖補助医療とそれに伴う先進医療の助成制度が拡充されることになりました1)

これまでは先進医療に該当する部分の費用のうち7割までが助成の対象でしたが、2026年4月より体外受精など保険診療で行われる生殖補助医療の自己負担額も新たに助成の対象となります。

東京都不妊治療費助成事業の概要は以下のとおりです。

対象となる保険適用の不妊治療 体外受精、顕微授精


※2026年3月31日までに開始した治療は対象外
対象となる先進医療 ○ SEET法
○ タイムラプス
○ 子宮内膜スクラッチ
○ PICSI
○ ERA / ERPeak
○ 子宮内細菌叢検査(EMMA / ALICE)
○ IMSI
○ 二段階胚移植法
○ 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
○ 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別)
○ 着床前胚異数性検査(PGT-A)

※最新の情報は、厚生労働省のページ(先進医療の各技術の概要)
対象者 ・夫婦いずれかが都内に住民登録
(事実婚を含む)
・保険診療で体外受精及び顕微授精を受診
・先進医療を受診している場合は、登録医療機関で受診
・治療開始時に妻の年齢が43歳未満
助成回数 妻の年齢39歳まで:6回
40〜42歳まで:3回
※1子ごとに回数リセット
助成額上限 上限15万円

※2026年3月31日までに開始した治療は、先進医療の7割のみ上限15万円
※高額療養費及び付加給付金が支給された場合は、支給金額を控除して給付されます。
高額療養費及び付加給付金については、ご加入の健康保険組合へお問い合わせください。

最新の情報や詳細情報などは東京都の公式サイトを合わせてご確認ください。

東京都不妊検査等助成事業:不妊検査やタイミング法・人工授精の助成金

東京都不妊検査等助成は不妊検査や一般不妊治療に対して助成される制度です2)

助成の回数や金額は、夫婦1組につき1回のみ5万円となります。先述の東京都不妊治療費助成よりも回数や金額は少なくなりますが、不妊検査等助成事業では助成の対象範囲が異なり、不妊治療を開始する上で重要な不妊検査が助成対象になります。

また、体外受精よりも前のステップで実施されるタイミング法や人工授精などの一般不妊治療もこちらの制度が対象となるため、うまく制度を使い分けて活用するようにしましょう。

東京都不妊検査等助成事業の概要は以下のとおりです。

対象となる不妊検査 男性:
精液検査、内分泌検査、
画像検査、精子受精能検査、
染色体・遺伝子検査 等
女性:
超音波検査、内分泌検査、
感染症検査、卵管疎通性検査、
子宮鏡検査 等
フーナーテスト
対象となる一般不妊治療 待機療法(タイミング指導)、薬物療法、人工授精 等
対象者 ・夫婦いずれかが都内に住民登録
(事実婚を含む)
・検査開始日に妻の年齢が40歳未満
・期間内に保険医療機関で夫婦ともに助成対象の検査を受けている。
助成回数 夫婦1組につき1回
助成額 5万円

最新の情報や詳細情報などは東京都の公式サイトを合わせてご確認ください。

東京都の市区町村における不妊治療の助成金

先述のとおり、都道府県以外にも市区町村で独自の助成金制度を設けている自治体があります。助成の条件や金額などはそれぞれで異なるため、お住まいの自治体の制度を確認しましょう。

ここでは、トーチクリニックの恵比寿院がある渋谷区と、上野院がある台東区を例に解説します。

渋谷区の助成金の制度

2026年4月現在、渋谷区の不妊治療に関連する助成制度として、主に以下の2種類があります。

・渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成
・渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成

それぞれ解説します。

渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成:体外受精や先進医療の助成金

渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成は、保険診療の生殖補助医療(体外受精・顕微授精)とそれに伴う先進医療が対象となる助成制度です3)。また、生殖補助医療の一環として行われた保険診療の男性不妊治療(精子採取の手術)も対象となる特徴があります。

助成金額は10万円であり、東京都の不妊治療費助成事業と組み合わせて利用することで大きな助けになります。

なお、この制度は2026年に範囲が拡大した東京都の不妊治療費助成事業に合わせて、助成制度の見直しを行っている旨が公表されています。

実際に申請する際は最新情報を確認した上で活用するようにしましょう。

渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成の概要は以下のとおりです。

対象となる保険適用の不妊治療 ・生殖補助医療(体外受精、顕微授精)
・生殖補助医療の一環として行なった男性不妊治療
対象となる先進医療 ○ SEET法
○ タイムラプス
○ 子宮内膜スクラッチ
○ PICSI
○ ERA / ERPeak
○ 子宮内細菌叢検査(EMMA / ALICE)
○ IMSI
○ 二段階胚移植法
○ 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
○ 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別)
○ 着床前胚異数性検査(PGT-A)

※最新の情報は、厚生労働省のページ(先進医療の各技術の概要)
対象者 ・法律上の婚姻をしている夫婦または事実婚関係にある夫婦
・夫婦いずれかが渋谷区に住民登録
・東京都以外の自治体から同種の助成を受けていない
・治療開始時に妻の年齢が43歳未満
助成回数 妻の年齢39歳まで:6回
40〜42歳まで:3回
※1子ごとに回数リセット
助成額上限 ・生殖補助医療と先進医療で10万円
・男性不妊治療を行なった場合は、その治療について10万円

最新の情報や詳細情報などは渋谷区の公式サイトを合わせてご確認ください。

渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成:不妊検査やタイミング法・人工授精の助成金

渋谷区では東京都の助成制度と同様に、不妊検査や一般不妊治療(タイミング法・人工授精など)に対する助成制度もあります4)

ただし、東京都の制度とは対象者の年齢が異なります。東京都の助成制度では検査開始日に妻の年齢が40歳未満という規定がありますが、渋谷区のこの助成制度の対象は、妻の年齢が40歳以上43歳未満となっています。そのため、年齢によってどちらか一方しか利用できず併用はできない点は注意しましょう。

渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成の概要は以下のとおりです。

対象となる検査・治療 ・不妊の検査、タイミング法、薬物療法、人工授精などの一般不妊治療
対象者 ・開始日における妻の年齢が40歳以上43歳未満
・法律上の婚姻をしている夫婦または事実婚関係にある夫婦
・夫婦いずれかが渋谷区に住民登録
・夫婦ともに検査または治療を受けている
・他自治体から同種の助成を受けていない
助成回数 夫婦1組につき1回
助成額上限 5万円

最新の情報や詳細情報などは渋谷区の公式サイトを合わせてご確認ください。

台東区の助成金の制度

2026年4月現在、台東区の不妊治療に関連する助成制度として、以下が挙げられます。

・台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業

不妊検査やタイミング法・人工授精などの一般不妊治療に対する助成制度は、台東区独自ではありません。

台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業:体外受精などの特定不妊治療に伴う先進医療の助成金

台東区の助成制度では、体外受精・顕微授精の特定不妊治療に伴う先進医療を受けている場合に、先進医療の自己負担分について上限5万まで助成を受けられます5)。ただし、東京都の助成制度を活用した後の金額が対象となります。

なお、上記は2025年9月2日更新の台東区の情報であり、東京都の助成制度が2026年4月1日より助成範囲が変更されたことに伴い、台東区の制度でも変更がある可能性があるため注意しましょう。

以下は、2025年9月2日更新時点の台東区特定不妊治療(先進医療)助成の概要です。

対象となる先進医療 保険診療の特定不妊治療(体外受精・顕微授精)と併せて実施した先進医療
・SEET法
・タイムラプス
・子宮内膜スクラッチ
・PICSI
・ERA/ERPeak
・子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)
・IMSI
・二段階胚移植法
・子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
・不妊症患者に対するタクロリムス投与療法
・マイクロ流体技術を用いた精子選別(膜構造を用いた生理学的精子選択術)
・着床前胚異数性検査(PGT-A)

※最新の情報は、厚生労働省のページ(先進医療の各技術の概要)
対象者 ・東京都の助成制度で15万円(助成上限額)の助成を受けている
・申請時に台東区に住民登録(夫婦のいずれか)
・他の区市町村から特定不妊治療費(先進医療)助成を受けていない
・治療開始日時点の妻の年齢が43歳未満
助成回数 妻の年齢39歳まで:6回
40〜42歳まで:3回
※1子ごとに回数リセット
助成額上限 5万円

最新の情報や詳細情報などは台東区の公式サイトを合わせてご確認ください。

東京都以外の不妊治療における助成金の制度は?

東京都以外でも不妊治療に関する助成金の制度を提供している都道府県や市区町村は多数あります。

今回は東京都周辺の神奈川県、埼玉県、千葉県の例を紹介します。

神奈川県の不妊治療における助成金の制度の例

2026年4月現在、神奈川県として不妊治療に対する助成制度はありません。しかし、市区町村ごとに助成制度を設けているケースがあります。

神奈川県内の市区町村の助成制度の例は以下のとおりです。

市区町村 制度名 助成の概要
横須賀市 不妊治療(生殖補助医療)に対する医療費助成 ・保険診療の生殖補助医療(体外受精・顕微授精)と併用して先進医療を実施した場合に上限5万円
・保険外診療(自費診療)で生殖補助医療を実施した場合に上限10万円(30万円を超えた分)
鎌倉市 不妊・不育症治療費助成制度 ・医療保険適用の体外受精・顕微授精と併せて実施した先進医療に対して上限5万円

最新の情報や詳細情報などは各自治体の公式サイトを合わせてご確認ください。

関連ページ:横須賀市 公式サイト
関連ページ:鎌倉市 公式サイト

なお、横浜市に関しては2026年4月現在、不妊治療費助成事業を実施していません。

埼玉県の不妊治療における助成金の制度の例

2026年4月現在、埼玉県として不妊治療に対する助成制度はありません。しかし、市区町村ごとに助成制度を設けているケースがあります。

埼玉県内の市区町村の助成制度の例は以下のとおりです。

市区町村 制度名 助成の概要
川口市 川口市生殖補助医療費助成事業 ・保険診療の対象となる生殖補助医療(体外受精、顕微授精)について上限3万円
・生殖補助医療と併用した先進医療について上限3万円
・生殖補助医療の一環として保険診療で行った男性不妊治療について上限3万円
和光市 和光市不妊治療費助成 ・保険診療として実施した生殖補助医療(体外受精・顕微授精)、男性不妊治療の精巣内精子採取術を含む治療に対して上限5万円

最新の情報や詳細情報などは各自治体の公式サイトを合わせてご確認ください。

関連ページ:川口市 公式サイト
関連ページ:和光市 公式サイト

千葉県の不妊治療における助成金の制度の例

2026年4月現在、千葉県として不妊治療に対する助成制度はありません。しかし、市区町村ごとに助成制度を設けているケースがあります。

千葉県内の市区町村の助成制度の例は以下のとおりです。

市区町村 制度名 助成の概要
柏市 特定不妊治療費(先進医療)助成事業 ・保険診療の特定不妊治療(体外受精・顕微授精)と併せて実施した先進医療に対して上限3万円
松戸市 松戸市生殖補助医療費(先進医療)助成事業 ・保険診療で行った生殖補助医療(体外受精・顕微授精)と併せて行った先進医療に対して上限3万円

最新の情報や詳細情報などは各自治体の公式サイトを合わせてご確認ください。

関連ページ:柏市 公式サイト
関連ページ:松戸市 公式サイト

助成金についてよくある質問

助成金についてよくある質問について回答します。

Q. 43歳以上は不妊治療の助成金が受けられない?

治療を開始する時点で女性の年齢が43歳以上である場合、保険適用外となり、助成金についても対象外となることが多くなってしまいます。

しかし、一部の自治体では43歳以上でも助成金の対象となるケースがあるため、居住地の制度を確認するようにしましょう。

たとえば東京の立川市では、以下の条件で年齢制限又は回数制限により自費診療になってしまった治療費用の一部を助成しています6)

  • 特定不妊治療(体外受精や顕微授精)の開始日が2024年4月1日以降であり、かつ女性の年齢が45歳未満である方
  • 年齢、回数制限を超えたことにより「自費診療」で負担した一連の不妊治療につき5万円を上限に助成。
  • 上記に併せて先進医療を受けた場合も助成対象となるが上限額は合計で5万円

おわりに

トーチクリニックでは、将来妊娠を考えている方向けのブライダルチェックなども提供しています。ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。

恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。

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また、ブライダルチェックについての解説記事もご参考にしてください。

ブライダルチェック
ブライダルチェックは、将来の妊娠に備えることを目的に、結婚や妊娠を控えたカップルを対象にした健康状態の確認のための検査です。

参考・出典サイト

1)東京都福祉局. 東京都不妊治療費助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin-senshiniryou/gaiyou

2)東京都福祉局. 不妊検査等助成事業の概要. 東京都福祉局ウェブサイト
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou

3)渋谷区. 渋谷区不妊治療(生殖補助医療)医療費助成. 渋谷区ウェブサイト
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/ninshin/funin-fuiku/seisyokuhojyo.html

4)渋谷区. 渋谷区不妊治療(一般不妊治療)医療費助成. 渋谷区ウェブサイト
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kodomo/ninshin/funin-fuiku/ippanhunintiryou.html

5)台東区. 台東区特定不妊治療(先進医療)助成事業. 台東区ウェブサイト
https://www.city.taito.lg.jp/kosodatekyouiku/kosodate/mokutei/kenkou_iryou/ninshin/teate_josei/senshiniryou.html

6)立川市.立川市特定不妊治療医療費助成金.立川市ウェブサイト
https://www.city.tachikawa.lg.jp/kenko/iryo/1003161/1020697.html