妊活の「タイミング」とは?何から始める?初めての妊活ガイド

最終更新日時:
2024-01-30
市山 卓彦
医師
torch clinic医師

妊活とは、妊娠を考えているカップルが、妊娠のために体の調子や環境を整えることです。この記事では、体の調子や、環境を整えることとは具体的にどのようなことをすれば良いのかを紹介していきます。

妊活とは?

妊活とは、「妊娠活動」という言葉の略で、妊娠を希望するカップルが妊娠のために行う活動のことです。内容としては、例えば妊娠に向けた健康な体づくりや、不妊の原因を探るための検査や治療、妊娠しやすい環境を整えることなどが挙げられます。

妊娠しやすいタイミング

一般的に、月経がくる14日前後数日の間に排卵が起こります。その期間に複数回性交渉を行うと妊娠しやすいとされています。

例えば、月経周期が32日周期の場合は月経から18日目が14日前にあたるため、大体14日目から20日目の間に何度か性交渉を行うと妊娠しやすいと考えられます。期間中に性交渉を1回するだけでは、なかなか妊娠の可能性を上げることはできません。なぜなら、排卵が起こる正確な日はわからない上、排卵後はわずか10数時間しか受精できないからです。排卵が起こるであろう期間中に複数回性交を行うことで、妊娠の可能性を上げることができます。

タイミング法とは?

タイミング法とは、排卵日を予測し、それに合わせて、性交渉をする方法のことをいいます。

卵巣内の卵胞は約20mmになると排卵するとされるため、卵胞の大きさを経腟超音波検査で測定し、モニタニングすることにより、排卵日を予測します。また、補助的に尿中や血中の排卵を促すホルモン(LH)の値も測定し、その値も排卵日の予測に利用することもあります。

排卵日を知るには

基礎体温

基礎体温とは、朝目覚めた直後、体を動かす前の安静時の体温のことです。女性の基礎体温は生理周期に伴い周期的に変化するため、その変化を記録することで自身の体のリズムを知ることができます。生理中は基礎体温が低く、排卵後は基礎体温が上昇します。そして基礎体温が上がる前の日が、排卵日にあたります。毎日決まった時間に正確な測定を長期間続けることで、自分の基礎体温の周期がわかり、排卵のタイミングもわかるようになります。

排卵日予測検査薬(排卵日チェッカー)

排卵日予測検査薬(排卵日チェッカー)は、尿中の排卵を促すホルモン(LH)の濃度を検出することにより、排卵日を予測します。通常、使い捨ての試薬を尿に浸し、一定時間待って結果を読み取ります。簡単に排卵日を予測できるため、妊娠しやすい性交渉のタイミングを自分で判断しやすいことが排卵日予測検査薬の利点です。

病院を受診

経腟超音波断層法

経腟超音波断層法は、超音波で卵巣内の卵胞の様子を観察することで排卵日を特定する検査です。排卵日が近づくと、卵巣内の卵胞が約20mm前後に大きくなります。そのため、卵胞の大きさを測ることで排卵日を推定できます。また、排卵後は破裂した卵胞が縮小していくので、これを観察して排卵が起こったことを確認できるため、精度の高い方法です。

頸管粘液

頸管粘液は、生理周期に伴って子宮の入口から出る分泌物のことです。頸管粘液は、排卵期に性状が変化するので、これを観察することで、排卵日の予測をすることができます。排卵期が近づくと、卵胞を発育させるエストロゲンの分泌が増加し、頸管粘液に次のような変化が起こります。まず、頸管粘液量が増え、粘稠度が低下します。また、牽糸性が増加し、粘液が糸を引くような状態になります。これにより、精子が頸管内を進みやすくなります。頸管粘液の量は排卵数日前から増え、最終低温日頃に0.3~0.4 mlに達し、透明で牽糸性は15cm以上になります。頸管粘液量のピークは基礎体温の低温最終日の1日前であり、これは排卵の2〜3日前に相当します。

尿中血中LH検査

排卵期の特徴的なホルモンの変動の仕方に、「LHサージ」というものがあります。LHサージとは、脳から分泌される排卵を促すLHホルモンが急激に増えることで、これが起こると排卵が起こります。そのため、血中のLHの値を調べることで、排卵日の予測をすることができます。また、LH分泌量が増えると尿中に排泄されるLHも増加するため、尿中LH測定からもLHサージを捉えることができます。尿中LH診断キットは市販されており、自宅での測定も可能です。検査が陽性になった後の1~2日以内に排卵が起こると予測できます。

妊娠に向けた体づくり

食生活の改善

妊活中は、栄養のバランスが整った食事をとることが大切です。

糖質

糖質については、白米や白いパンよりも、全粒穀物のような精製されていない“茶色い糖質”を選びましょう。血糖値の上昇が穏やかになります。

脂質

脂肪については、オメガ3脂肪酸とも呼ばれるn-3系脂肪酸を多く摂ることが、妊娠の成功率を上げると言われています。一方で、加工食品やマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は排卵障害や精子の量を減少させる可能性があるため、避けるようにしましょう。

葉酸

葉酸の摂取は、子どもの神経管閉鎖障害リスクを低減します。妊娠前1ヶ月から妊娠後3ヶ月間の間に葉酸を適切に摂取するようにしましょう。食事だけでは必要量の摂取が難しい場合、サプリで「モノグルタミン酸型の葉酸」400μgを追加摂取するようにしましょう。

ビタミンD

ビタミンDが足りている女性は体外受精における着床率が高かったり、卵巣予備能(卵子の残りの数)が高い傾向があると研究で示されています。また男性は精子の状態を良くするとされています。ビタミンDもサプリメントで取り入れることをおすすめします。

適度な運動と十分な睡眠

妊娠しやすい体をつくるためには、適度な運動を習慣的に行うことが大切であるとされています。不妊治療を行っている肥満女性において、日常的に運動しているグループと運動していないグループを比較した研究では、運動しているグループの妊娠率が3.22倍高いことが報告されました。一方、別の研究では、特にBMIが25未満の女性では、習慣的な激しい運動は妊娠率の低下に関連していると報告されており、過度な運動は推奨されていません。適度な運動、たとえばウォーキングなどは、体型に関係なく妊娠率の向上に効果があると考えられています。

妊娠しやすい体をつくるためには、適切な睡眠を確保することも重要です。睡眠時間、睡眠の質、睡眠リズムの観点から適切な睡眠についてまとめます。

  • 睡眠時間の確保:毎晩7〜9時間の十分な睡眠を確保することが重要です。睡眠時間が不足するとホルモンバランスが乱れ、排卵や生殖機能に影響を与える可能性があります。
  • 睡眠の質の向上:快適な寝室環境を整え、快眠をサポートすることが大切です。寝室を暗く静かな環境にし、快適なマットレスや枕を使用しましょう。
  • 睡眠リズムの整備:定期的な睡眠リズムを作ることで、体内時計を整えることができます。毎日同じ時間に寝る習慣を作り、規則正しい睡眠スケジュールを心掛けましょう。

ストレスを溜めない

ストレスは妊娠に深く関わるホルモンの分泌やエストロゲンの合成を低下させ、周期や卵子の質に影響し、自律神経を乱し、不妊や不育の原因となります。男性も精子の質が低下します。ストレスを完全に無くすのは難しいですが、妊活中はストレスを溜めず、自分に適したストレス解消方法を見つけましょう。

不妊治療も考えよう

この記事では、妊娠しやすい性交渉の時期の調べ方や、妊娠しやすい健康な体づくりについてまとめました。これから妊活を考えている方は、これらの方法から、妊娠しやすい環境を整えてみてください。また、近年はブライダルチェックといって、カップルそれぞれが自分の体の状態を医療機関で評価し、適切なアドバイスを受けることも有意義であると考えられています。妊活や妊娠について不安のある方は、一度不妊治療専門の医療機関を受診し相談されることをおすすめします。