卵胞の大きさと妊娠の関係は?排卵のタイミングや生理日数別についても解説

市山 卓彦
市山 卓彦 医師
上野院 院長 婦人科 生殖医療科 医師
お二人の道のりが明るく照らされるよう「理解」と「納得」の上で選択いただく過程を大切にしています。エビデンスに基づいた高水準の医療提供により「幸せな家族計画の実現」をお手伝いさせていただきます。
医学博士、日本生殖医学会生殖医療専門医 / 日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会専門医指導医 / 臨床研修指導医
torch clinic医師

妊娠を望む場合に卵胞の大きさは気になるポイントであり、理想とされるサイズだと妊娠率が高い傾向があることが知られています。しかし、卵胞の大きさのみが妊娠に影響するわけではないため、医師としっかり相談しながら進めることが大事です。

今回の記事では、卵胞の大きさと妊娠の成立との関係や排卵のタイミング、生理日数ごとの大きさの基準があるのかなども解説します。

卵胞と排卵の仕組み

卵胞は卵子を包む袋であり、生まれた時から卵巣内に原始卵胞と呼ばれる状態で多数存在しています。

思春期以降、原始卵胞の一部は数か月以上かけて発育し、前胞状卵胞や胞状卵胞と呼ばれる状態へと成長します。生理周期の初期には複数の胞状卵胞が存在し、その中から最も発育が進んだ主席卵胞(優位卵胞)が成熟卵胞となります。成熟卵胞が卵子を放出することで「排卵」が起こります。

月経周期が約28日の場合、排卵は次の月経開始のおよそ14日前に起こるのが一般的です。

卵胞の大きさと妊娠の関係

卵胞の大きさと妊娠の成立については、一定の関連があると考えられています。

排卵するタイミングでの卵胞の大きさは18〜22mm程度が目安と考えられています1)。排卵誘発剤であるレトロゾールを使って人工授精を実施した海外の研究では、卵胞が19.1~21.0mmの場合に、臨床妊娠率や出生率が最も高かったという結果が報告されています2)

レトロゾール子宮内人工授精初回患者における卵胞サイズと臨床妊娠率・出生率
卵胞サイズ(mm) 患者数(割合) 臨床妊娠率(%) 出生率(%)
18.0以下 188(24.6) 12.23 9.57
18.1〜19.0 114(14.9) 14.03 11.4
19.1〜20.0 161(21.1) 23.6 19.88
20.1〜21.0 108(14.1) 23.15 21.3
21.1〜22.0 78(10.2) 23.08 16.67
22.0超 114(14.9) 13.16 9.65

卵胞の大きさだけが卵子の質を決めるわけではない

上記のように、卵胞の大きさには妊娠が成立しやすい範囲がありますが、卵子の質は必ずしも卵胞の大きさだけで決まるわけではないと考えられます。

上記と別の研究で、小さい卵胞だと大きい卵胞や中程度の卵胞と比べて、卵母細胞(卵子の元となる細胞)が得られにくいという結果となっています。

ただし、成熟した卵母細胞の受精率や質の高い胚となる割合は、由来した卵胞の大きさと関係がなかったという結果も得られています3)

この結果から、卵母細胞を得るには一定サイズの卵胞の方が良いものの、得られた卵子の質は、元の卵胞の大きさとは必ずしも関連がない可能性が考えられます。

測定された卵胞の大きさが18mm以下、もしくは22mmを超える場合でも、妊娠・出産の可能性は十分あり、測定結果が理想のサイズでなかった場合でも、医師としっかり相談しながら進めることが重要です。

排卵されるタイミングの卵胞の大きさ

前述のとおり、自然な排卵に必要な卵胞のサイズは18〜22mmが目安となります。不妊治療の最初のステップとして実施されるタイミング療法では、卵胞の大きさやホルモン値などから排卵を予測しタイミングをとって性交渉を実施することになります。

卵胞の大きさの詳細な判断基準は医療機関によって多少異なるケースがありますが、おおむね20mm前後になったら、他の検査結果も考慮しつつ排卵に備えるタイミングといえます。

精子は女性の体の中で2〜3日程度生存できるため、卵胞が20mm前後に達したタイミングから性交渉を持つことで、排卵時に精子が卵管で待機している環境を整えられます。

妊娠成立の可能性をより高めるためには基礎体温や排卵検査薬なども併用し、パートナーと相談しながら計画的にタイミングを計りましょう。

卵胞の大きさ|生理日数別の目安はある?

卵胞の大きさは一般的に、生理周期3日目の卵巣で2〜5mm程度の胞状卵胞がみられ、生理8日目に10mm前後に達します。

胞状卵胞の時点で大きさも異なり、1日の成長のスピードも個人差があります。そのため、生理5日目の卵胞の大きさはこれくらい、生理10日目ならこれくらい、といった生理日数ごとの明確な基準値のようなものはありません。

目安としては1日あたり約1〜2mmの速度で成長し、18~22mmの大きさになると排卵しますが、使用する排卵誘発剤などによっても状況は変わってくるため、医師ともしっかりコミュニケーションを取りながら進めるようにしましょう。

卵胞が小さい・大きい場合に考えられること

小さい卵胞や大きい卵胞がみられるケースでは、必ずしも原因がわかるわけではありませんが、可能性がある原因や対処法の例を以下で解説します。

卵胞が小さい場合に考えられる原因と対処法

卵胞が小さくなる原因として、ホルモン調節の異常や多嚢胞性卵巣症候群などの可能性があります。

卵胞の発育は、主に脳の下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)によって制御されていますが、これらのホルモン調節に異常があると卵胞が上手く発育できない可能性があります。

また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵が不定期または起こりにくくなる状態で、特徴として、月経不順や排卵障害、卵巣に小さな卵胞がたくさん見える、AMHが高い、男性ホルモンが高いといったものがあります。多嚢胞性卵巣症候群では、FSH刺激が十分に働かないことなどが原因で、卵胞の成長が止まってしまうことがあります。

卵胞が小さい場合の対処法は、原因に応じた治療が検討されます。生活習慣の改善や排卵誘発薬の使用などが代表的な対処法となります。

卵胞が大きい場合に考えられる原因と対処法

卵胞が大きくなる原因の例として、排卵がうまく起こらなかったことが挙げられます。

排卵誘発剤を使用している場合でも起こるケースがあり、卵胞の発育と排卵を促す刺激のタイミングが合わず、排卵に至らないまま卵胞が大きく残ることがあります。 このような場合、卵胞そのものが異常というより、排卵までの過程がうまく進まなかった結果と解釈されています。

このケースでは多くは時間の経過とともに自然に消失するため、まずは特別な対処をせずに経過観察をすることも多いです。

卵胞の大きさについてよくある質問

卵胞の大きさについてよくある質問を解説します。

Q:卵胞が30mmになった場合は大丈夫?

特に排卵誘発剤を使用した場合、卵胞が30mm前後まで発育することがあり、論文でもそのような報告があります。

海外の研究では、理想的なサイズの卵胞が妊娠率は高い傾向にあるという結論ではあるものの、排卵誘発剤を用いた周期では、卵胞の大きさが29mm以上の症例が約14%認められた結果となっています4)。30mm前後の卵胞も必ずしも珍しいわけではないことがうかがえます。

卵胞のサイズは個人差や治療条件の影響を受けるため、数値だけで一概に判断せず、医師と相談しながら進めることが重要です。

Q:卵胞の大きさがバラバラなのは問題がありますか?

卵胞の大きさがそろわず、バラバラな大きさで観察されるケースもあります。排卵誘発剤を使用している周期では、卵胞ごとの感受性の違いなどから発育が揃わず、卵胞の大きさがバラバラになる可能性があります。

ただし、卵胞の大きさがそろっていないこと自体が、必ずしも妊娠のしにくさを意味するわけではありません。主席卵胞が適切に成熟・排卵し、他の条件が整っていれば妊娠に至る可能性はあるため、卵胞の状態やホルモン値を踏まえながら、医師の判断のもとで経過を観察し、必要に応じた対応が行われます。

おわりに

トーチクリニックには生殖医療専門医が在籍し、一般不妊治療(タイミング療法、人工授精)に加えて、高度生殖医療(体外受精、顕微授精など)も提供しています。

恵比寿駅・上野駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、土日も開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。

不妊治療で新たなステップを考えている方は、お気軽にご相談ください。

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参考文献

1)International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology. Folliculometry. 
https://www.isuog.org/clinical-resources/patient-information-series/patient-information-gynecological-conditions/folliculometry.html

2)Ling L, Xia D, Jin Y, Hong R, Wang J, Liang Y. Effect of follicle size on pregnancy outcomes in patients undergoing first letrozole-intrauterine insemination. Eur J Med Res. 2024 Mar 18;29(1):184.
https://link.springer.com/article/10.1186/s40001-024-01794-8

3)Mohr-Sasson A, Orvieto R, Blumenfeld S, Axelrod M, Mor-Hadar D, Grin L, Aizer A, Haas J. The association between follicle size and oocyte development as a function of final follicular maturation triggering. Reprod Biomed Online. 2020 Jun;40(6):887-893.
https://www.rbmojournal.com/article/S1472-6483(20)30093-6/abstract

4)Palatnik A, Strawn E, Szabo A, Robb P. What is the optimal follicular size before triggering ovulation in intrauterine insemination cycles with clomiphene citrate or letrozole? An analysis of 988 cycles. Fertil Steril. 2012 May;97(5):1089-94.e1-3.
https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(12)00250-6/fulltext