妊娠初期の症状とその理由
妊娠中は初期・中期・後期に分けられ、「妊娠初期」とは0〜15週(1〜4カ月)をいいます。
妊娠初期には、女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの分泌量が増加し、さまざまな症状がみられるようになります。妊娠初期にみられる代表的な症状は以下のとおりです。
これらの症状は一時的であり、妊娠中期になると落ち着くケースが多いです。症状の現われ方には個人差があり、すべての妊婦さんに起こるとは限りません。
「妊娠初期」と「妊娠超初期」の違い
一般的には妊娠0〜15週(1〜4カ月)を妊娠初期といい、妊娠0〜3週頃までの時期を「妊娠超初期」と呼ぶこともあります。妊娠前の最後の生理日から数えるため、実際には妊娠前の期間が含まれているケースもあります。
妊娠超初期は、妊娠検査薬で調べても正しい反応が出ない可能性があります。いつもと違う変化があり、妊娠に気づく人もいます。以下は、妊娠超初期に起こりやすい症状です。
これらの症状は自覚しない方も多いため、症状がないから妊娠していない、という判断はできません。
妊娠初期に日常生活で気をつけること
妊娠初期は、お腹の赤ちゃんの器官(脳や骨、臓器など)が形成される大事な時期です。出産までママと赤ちゃんが健やかでいるには、妊娠初期の過ごし方がポイントになります。感染症やお酒、運動などの注意点をみていきましょう。
風邪や感染症
妊娠すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。妊婦さんが感染症にかかると、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす場合があります。以下の対策で感染を予防しましょう。
飲酒・喫煙
妊娠中のお酒やたばこは止めましょう。妊活中から止めるのが望ましいです。
妊娠中に飲酒すると、胎盤を通じてアルコール成分が赤ちゃんに運ばれてしまいます。赤ちゃんはうまくアルコール代謝ができないため、健康に影響が出る恐れがあります。早産や流産のリスクにもなるため、妊娠中の飲酒は避けなければなりません。
喫煙は妊婦さんだけでなく、赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼす可能性があります。たばこの煙に含まれるニコチンは、血管の収縮作用があり血流を減少させます。また、一酸化炭素は、酸素を運ぶヘモグロビンの量を減少させてしまうのです。
「喫煙している妊婦は喫煙していない妊婦に比べ、早産、自然流産などのリスクが高い」との報告もあります。喫煙習慣のある方はすぐに禁煙しましょう。
また、たばこは受動喫煙での赤ちゃんへの悪影響も指摘されています。家族や周囲の人に喫煙者がいる場合は、禁煙や分煙に協力してもらいましょう。
参考:喫煙と健康問題について簡単に理解したい方のために(Q&A)「Q 妊娠中の健康への悪影響について」/厚生労働省
市販薬の服用
妊娠中は、自己判断で市販薬を服用しないようにしましょう。薬の成分によっては赤ちゃんに悪影響を与える恐れがあり、妊娠初期はとくに注意しなければなりません。
体調が悪く薬を服用したいときは、医師に相談しましょう。妊娠中に服用できる薬を処方してもらえる場合もあります。病気の治療で継続的に服用している薬があれば、できれば妊活中、遅くとも妊娠がわかった時点で主治医に相談しましょう。
運動
妊娠中の運動は、妊婦さんの健康維持・増進を目的としておこなわれます。現在の妊娠経過が正常で、かつ、以下の条件を満たしている状態が望ましいとされています。
引用:妊婦スポーツの安全管理基準(2019)/日本臨床スポーツ医学会 産婦人科部会
運動は、有酸素運動で楽しく長続きする種類が推奨されます。たとえば、ウォーキングや水泳、ヨガなどです。
外傷のリスクがある運動や、過度な腹圧がかかる運動は避けましょう。バスケットボールやバレーボールなどの球技、レスリングや柔道、走り幅跳びなどは控えてください。
妊婦さんの体調は個人差があるので、主治医に相談して運動をするようにしましょう。
姿勢・動作
妊娠初期は、体の変化にあった正しい姿勢を意識しましょう。座っているとき、立っているとき、寝ているときのよい例と注意点を解説します。
1.座っているとき
妊婦さんがラクに感じる座り方であれば、基本的にどのような座り方でもかまいません。
あぐらがラクに感じる人もいます。あぐらで座るときは、坐骨で座り、骨盤を立てて座るようにしましょう。背筋が伸びて猫背の予防にもなります。腰痛持ちの場合、正座がラクに感じる方もいます。
長時間の座りっぱなしや、座ったまま前かがみになる姿勢は、腰痛の原因となるため避けましょう。
2.立っているとき
立っているときは、背筋を伸ばすことを意識しましょう。長時間立ち仕事が続くと、疲れやすくなったり、妊娠中期以降にトラブルを招いたりする恐れがあります。
立ち仕事の妊婦さんは、立つ時間をできるだけ短くして体の負担を減らすようにしましょう。
3.寝ているとき
妊娠初期は、自分が寝やすい姿勢で寝てかまいません。ただし、お腹が大きくなると、横向きで寝るのがラクになるため、少しずつ慣れることをおすすめします。
普段うつぶせで寝る妊婦さんは、姿勢について不安がある方もいるかもしれません。妊娠初期のうつぶせ寝は問題ないとされており、気にしなくてよいでしょう。中期以降は注意が必要です。
自転車
妊娠中は体調の変化により、自転車運転で事故を起こすリスクが高まります。自転車運転は転倒する恐れもあるため、控えた方がよいでしょう。
また、車の運転は、思わぬ事故に巻き込まれたり、急ブレーキでお腹に衝撃を与えたりする可能性があります。可能であれば自分での運転は控えましょう。運転が避けられないときは、シートベルトは子宮の位置を避けて装着し、安全に十分気をつけましょう。
妊娠初期に食べ物で気をつけること
妊娠中は主食・主菜・副菜をそろえ、規則正しく食べるようにしましょう。食生活は妊娠によって大きく変わるわけではなく、妊娠前からの習慣が継続します。妊娠前から栄養バランスのとれた食事を摂ることが重要です。
妊娠初期に摂るとよい栄養素や食べ物、注意したい食べ物を解説します。
積極的に摂るとよい栄養素と食べ物
妊娠初期は、鉄や葉酸、たんぱく質、カルシウムを十分に摂りましょう。
鉄
一般的に、妊婦さんはビタミン・ミネラルの摂取量が十分ではないことがわかっており、中でも鉄や葉酸は不足しやすいとされています。
鉄は赤ちゃんに酸素を送るために欠かせない栄養素です。成長に伴い需要も増加し、妊娠前より多くの量が必要になります。以下は、鉄を多く含む食品の例です。
葉酸
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンです。赤ちゃんの成長に重要な役割があり「神経管閉鎖障害」を低減させるといわれています。以下は、葉酸を多く含む食品の例です。
妊活中や妊娠初期には、食事での葉酸摂取に加えサプリメントなどから1日400μgを摂取することが推奨されています。
たんぱく質
たんぱく質は、妊婦さんと赤ちゃんの血液や筋肉をつくる栄養素です。肉や魚、卵、大豆製品などを使ったメニューがおすすめです。
青魚には体によいとされるDHAやEPAが含まれています。多様な食品を組み合わせて摂取するようにしましょう。以下は、たんぱく質を多く含む食品の例です。
カルシウム
カルシウムは、妊婦さんの体調を整える働きがあり、赤ちゃんの成長にも欠かせません。妊娠中は不足しやすくなるため、乳製品や緑黄色野菜、豆類、小魚を積極的に摂りましょう。
以下は、カルシウムを多く含む食品の例です。
注意したい食べ物
妊娠中は注意したい食べ物があります。
ビタミンAを含む食べ物は、過剰摂取に注意が必要です。赤ちゃんの先天奇形が起きるリスクが高まるとされているためです。レバーやうなぎは食べ過ぎないようにしましょう。
生肉や刺身、生卵は保存状況等によっては食中毒の原因となる場合もあります。生では食べずに、十分に加熱してから食べましょう。
また魚は、種類や食べる量に注意が必要です。食物連鎖によって水銀を取り込んでいる魚がいるためです。マカジキやミナミマグロ、キンメダイといった魚は食べる量に注意しましょう。詳しくは医師や管理栄養士、最寄りの保健所に確認してください。
塩分の摂りすぎは「妊娠高血圧症候群」などを引き起こすリスクがあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊婦の食塩相当量の摂取目標を1日あたり「6.5g未満」としています。だしをうまく使う、かけ醤油ではなく付け醤油にする、などの方法で工夫しましょう。
参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会/厚生労働省
仕事
仕事は自分の体調に合わせておこないましょう。長時間の立ちっぱなしを避け、休憩をとりながらおこなうのが大切です。お腹の張りや痛みを感じたら無理せず、横になって休みましょう。
重い物を持つ作業も控えましょう。お腹に力が入って、子宮が収縮しやすくなるためです。腰痛やむくみを引き起こす可能性もあります。無理せず、他の人に協力してもらうようにしましょう。
旅行
「出産前にパートナーと二人の時間を過ごしたい」と考え、旅行を検討する方もいるでしょう。しかし、妊娠初期は不安定な時期であるため、旅行は控えることが望ましいです。妊婦健診で正常でも、急に変化が起こるときもあります。
妊娠初期に夫が気をつけたいこと・やった方がよいこと
妊娠すると心身にさまざまな変化があらわれます。何かサポートしたいと思っても、何をすればよいのかわからないパートナーもいるかもしれません。妊婦さんの体の変化を知る、感染対策をおこなう、家事をサポートするなどから始めてみましょう。
1.妊婦さんの体の変化を知る
妊娠初期はめまいや頭痛、胃のむかつきや吐き気、倦怠感などがみられるようになります。ホルモンバランスの変化によって起こる、一過性の症状であることを理解しておきましょう。
2.感染対策を徹底する
妊娠中は免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。インフルエンザや新型コロナに感染すると重症化のリスクもあるため、家族みんなで感染防止に努めましょう。前述の「妊娠初期に日常生活で気をつけること」を参考にしてみてください。
3.家事をサポートする
妊娠初期は吐き気や食欲の低下、倦怠感などが起こりつらい時期です。家事をサポートすることで、妊婦さんの負担軽減につながります。何をして欲しいか確認して、すすんで家事を行うことによって、精神的にも妊婦さんは安定します。
妊娠初期にやるべきこと
妊娠がわかったら、お住まいの自治体に「妊娠届出書」を提出します。医療機関で用紙を渡してくれるところもあるようです。
母子手帳は妊娠を届けたときに交付されます。6歳になるまでの子どもの記録が残る大切な手帳です。妊婦健診の助成や出産一時金のサポートも受けられるようになります。詳しくは、お住まいの自治体にお問い合わせください。
妊娠初期は、周囲への報告は早いと考える方もいます。しかし、つわりがひどくて仕事を休んだり、入院が必要になったりするケースもあるため、上司にだけは報告することをおすすめします。
おわりに
トーチクリニックでは、ブライダルチェックを提供しています。恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
ブライダルチェックにご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ブライダルチェックのご予約はウェブからも受け付けております。