子宮内膜ポリープとは?
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の細胞が何らかの理由で異常増殖を起こし、子宮の内腔にポリープができる疾患です。
ポリープとは、皮膚や粘膜から突出した腫瘤で、子宮内膜に限らず胃や大腸にもできます。これらが子宮の入り口部分(頸部や腟部)にできたものを子宮頸管ポリープ、子宮内膜にできたものを子宮内膜ポリープといいます。また ポリープは一つだけではなく、複数できるケースもあります。子宮内膜ポリープの多くは良性腫瘍で、小さいものでは数mm程度ですが、大きいサイズだと子宮の入り口まで垂れ下がって出てくるものもあります。
子宮内膜ポリープの主な症状
最も多いのは不正性器出血ですが、中には無症状の方も多いです。中間出血(排卵期に起こる出血)、過多月経、過長月経などが起こることもあります。さらに、ポリープの大きさや位置によっては受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げて、不妊症の原因になることもあります。
子宮内膜ポリープと不妊症の関係
子宮内膜ポリープは一般女性の約10%に存在していると言われています。一方で、不妊症の女性の場合には24%の人に子宮内膜ポリープがあると言われています。
すべての子宮内膜ポリープに治療が必要なわけではなく、経過観察する場合もありますが、ポリープ を除去することで妊娠率、着床率、生児獲得率が向上する可能性が高いと考えられます。理由としては、子宮内膜ポリープを治療することによって、不正子宮出血、子宮内膜の炎症性変化、子宮内膜への精子輸送障害、着床障害などが解消されるためです。
不妊症の方に対して子宮内膜ポリープを切除した報告では、子宮内膜ポリープと診断され、子宮鏡下内膜ポリープ切除術をうけた36例のうち、子宮内膜ポリープ切除した方の術後の妊娠率は44.4%と一定の治療効果を認めました。
子宮内膜ポリープの大きさが1.5-2.0cmでは影響を与えないという報告もありましたが、36例中34例が1.5㎝以下で、大きさにかかわらず、小さくても治療した方がよいと考えられます。
一般にポリープは単発性が多いですが、不妊症患者では2個以上の多発性が多いとされます。単発性ポリープ群と多発性ポリープ群を比較すると、それぞれ治療後の妊娠率は25.0%と54.2%でした。
このことから、多発性ポリープがあった場合は不妊症の原因としてより重要であり、治療が望ましいと考えられます。報告の中で、子宮内のポリープの発生部位での妊娠成績を比較していましたが、発生した部位による違いはありませんでした。
参考:2020年日本受精着床学会雑誌「不妊症に対する子宮鏡下内膜ポリープ切除術の有用性」より
子宮内膜ポリープの原因
子宮内膜ポリープができる原因は明らかではありませんが、炎症や分娩、流産、女性ホルモンの影響などが考えられています。
子宮内膜ポリープの検査方法
超音波検査やMRIで子宮内膜ポリープが疑われた場合、子宮鏡で詳しく検査します。子宮鏡は子宮ファイバースコープとも呼ばれ、子宮の中に細いカメラを入れて、直接子宮の中を観察することができます。
子宮内膜ポリープの治療方法
症状がない場合や腫瘤のサイズが小さい場合は経過観察することもあります。
一方、不正出血などの症状があるもの、悪性(癌)の可能性があるもの、不妊症の原因として疑われている場合は治療の対象となり、主に摘出手術を行います。腫瘤のサイズが大きい場合(直径1.5㎝以上)は悪性の可能性が高くなります。ポリープの手術をする際は入院して全身麻酔をかけて、カメラの先に電気メスがついた子宮鏡を使ってポリープを摘出します。さらに、摘出したポリープに悪性の所見がないか組織学的検査を行います。
子宮内膜ポリープの多くは良性ですが、中には悪性化するものもあります。さらに、不妊の原因にもなるとされているため、不正出血などの異常があった場合には速やかに婦人科を受診してください。
よくある質問
子宮内膜ポリープ切除後、性行為はできますか?
できます。ただし、手術後は通常1〜2回目の月経を待ってからが推奨されています。
子宮内膜ポリープがあっても妊娠できますか?
子宮内膜ポリープがあっても妊娠は可能ですが、無い方と比べると妊娠率は下がることが研究で明らかになっています。挙児希望がある方で子宮内膜ポリープがある場合には治療を受けることを推奨します。
おわりに
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