子宮内膜ポリープは、子宮内腔(子宮の内側・子宮内膜が覆っている部分)にできる良性のできものです。受精卵の着床に影響が出るなど、不妊の原因になることがあります。ただし適切な治療で、子宮内膜ポリープによる不妊の改善は可能です。
本記事では、子宮内膜ポリープの症状や検査、治療などについて解説します。気になる症状がある場合、病院に行く際の事前情報としてお役立てください。
子宮内膜ポリープとは?原因は?
子宮内膜ポリープは、子宮内膜の表面から子宮内腔側へと突出したポリープです。不正出血などの症状が出る場合があります。
茎があって卵のような形状で、大きさは1cm未満の小さなものから、数cmのものもあります。一つだけでなく、複数できるケースもあります。
子宮内膜ポリープは、子宮の筋肉組織から発生する子宮筋腫とは別の疾患です。ただ、子宮筋腫のうち有茎性粘膜下筋腫は、子宮内膜ポリープと似ているので、切除してから病理診断します。
子宮内膜ポリープが発生する原因
子宮内膜が厚くなったり、細胞が増殖したりして、小さな塊へと変性して、子宮内膜ポリープができます。
女性ホルモンのひとつである、エストロゲンの分泌が過多なことが原因とされています。
子宮内膜ポリープの主な症状
子宮内膜ポリープの主な症状は、不正出血、子宮内出血(体外に血が出ない場合を含む)、月経の出血過多、月経期間が長くなることです。また、無症状の場合もあります。
出血が多い場合には、それにともなって貧血症状が出る可能性もあります。
ふだんとは違うタイミングの出血や、月経の期間が長引いて8日以上になったとき、出血量がかなり多いなどの場合は、速やかに病院で診断を受けてください。
子宮内膜ポリープと不妊症の関係
子宮内膜ポリープは、受精卵が着床するのを妨げて、不妊の原因になる場合があります。
子宮内膜ポリープは、一般の女性の約1割にできていると推定されています。1)また、不妊症の方の中での子宮内膜ポリープの発現率は約24%と言われています。2)
不妊の原因が子宮内膜ポリープ以外にない場合には、ポリープ除去によって、妊娠の可能性が向上します。特に、子宮内膜ポリープが子宮内膜の中央部分の受精卵が着床する部分に位置する場合には、着床を妨げるリスクが高くなります。
また、ポリープが存在することで、子宮内の炎症や精子や卵子が子宮内でスムーズに動くのを妨げるといった、不妊の一因となる悪影響が起きることも想定されます。
子宮内膜ポリープの検査方法
子宮内膜ポリープを検査する際は、まず経腟超音波検査で、子宮内膜ポリープと思われる症状があるかどうかを調べます。なお、月経が終わった直後で子宮内膜が薄い時期に検査するとポリープを発見しやすいので、このタイミングでの検査がおすすめです。
経腟超音波検査で子宮内膜ポリープが疑われた場合は、次の検査に進みます。子宮内に生理食塩水を入れ、子宮内腔を広げて詳しくみるソノヒステログラフィーという検査や、子宮鏡という内視鏡での検査を実施します。
また、前述した通り、有茎性粘膜下筋腫が疑われる場合には、組織を切除して病理診断で状態を確認します。
子宮内膜ポリープの治療方法
子宮内膜ポリープの治療方法は、薬の服用による治療と手術による除去のいずれかです。無症状で、妊娠に影響がない場合には、経過観察することもあります。
薬による治療では、低用量ピルまたは中用量ピルを数か月服用します。
ポリープが小さい場合は、外来で子宮鏡下手術を使ったポリープ切除を行います。ポリープが大きい、もしくは数が多いといった場合は、入院して手術することになります。その場合子宮鏡下手術、または、子宮内容除去術で、ポリープを除去します。
子宮内膜ポリープ切除後の性行為について
手術後の性行為の再開タイミングは、子宮鏡の手術の場合は約1週間後がおおよその目安です。ただし、子宮内容除去術の場合は、約3週間後が目安となります。
ただし、個々の手術の内容や症状によって異なるので、担当の医師の診察のもと、子宮の回復を確認してから再開しましょう。痛みや異常を感じた場合には中止して、病院で医師の指示を仰いでください。
おわりに
トーチクリニックでは、医師による診断や治療のカウンセリングに加えて、心理カウンセラーが心理的な負担や人に話しにくい悩みなど、医療での解決が難しい「お困りごと」について一緒に考える機会も提供しています。
恵比寿駅から徒歩1分の便利な場所に位置し、週7日(平日・土日祝)開院しており、働きながらでも通いやすい環境を提供しています。
不妊治療にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。ご予約はウェブからも受け付けております。
また、すでに不妊治療を受けている方々のお悩みやセカンドオピニオンにも対応しております。セカンドオピニオンを含めたクリニックへのよくあるご質問はこちらをご参考ください。
参考文献
1)Lieng M, et al.: Treatment of endometrial polyps: a systematic review. Acta Obset Gynecol Stand. 89: 992-1002, 2010
2)Clark TJ, et al.: A randomised controlled trial of outpatient versus inpatient polyp treatment (OPT) for abnormal uterine bleeding. Health Technol Assess. 19(61), 2015.